のどの袋はいったい何のため? 大型の鳥ペリカン、米西海岸では謎の大量餓死も進行中
最大12リットルものどの袋に貯められる種も、世界中の海岸あるいは湖や川の沿岸に生息
ペリカンは6種類以上いるが、すべてのペリカンが持つノドの袋が有名だ。これらの大型鳥はその弾性のある袋を使って魚を捕るが、その袋を異なる方法で用いるものもいる。 ギャラリー:カッショクペリカンを襲う謎の飢餓、米西海岸 写真5点 多くのペリカンは群れで協力して魚をとる。列になるかU字型になって、水面を羽で叩いて浅瀬に魚を追い込む。魚が浅瀬に集まると、簡単に魚をすくい上げる。 カッショクペリカンは空中から魚(通常メンハーデンと呼ばれるニシンの仲間)めがけて飛び込み、クチバシの中に捕らえる。ペリカンは袋の中に魚を蓄えず、ただ魚を捕らえるために使い、それを傾けて水を吐き、素早く魚を飲み込む。アメリカモモイロペリカンはおよそ12リットルの水をクチバシに貯められる。若いペリカンはクチバシを親鳥のノドに差し込んでエサを分けてもらう。 ペリカンは世界中の海岸、あるいは湖や川の沿岸で見られる。社会性のある鳥であり、たいていは群れで移動し、しばしば列を成している。また、コロニーと呼ばれる集団で繁殖し、通常は島に集まる。 北米ではカッショクペリカンが絶滅の危機にあったが、個体数がある程度まで回復し、「保護の成功例」とされている。ただし、2022年と2024年には米国カリフォルニア州沿岸で謎の大量餓死に見舞われており、科学者が原因を探っている。 また、海鳥はDDTのような化学農薬により絶滅に追いやられており、そうした薬品類がペリカンの卵や多くのほかの種の動物に深刻なダメージを与えている。
ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部