甲子園2度出場の強豪・八千代松陰 夏ノーシードからの挑戦
2024年の千葉大会は、近年でも稀に見る注目度の高さになることが期待される。というのも、シード校でもおかしくない実力校が次々とノーシードに回っている。大会序盤から白熱することが期待されるからだ。 【トーナメント表】夏の千葉大会 組み合わせ 2019年の千葉大会の決勝戦を戦った八千代松陰も、そんな学校の1つだ。 現ヤクルトの主力選手・長岡秀樹がメンバーだった2019年には準優勝と甲子園まであと一歩と迫った。 過去には春夏合わせて2度の甲子園出場。学校としての実力はもちろんだが、元プロ野球選手・度会博文さんなどNPB選手を多く輩出している八千代松陰だが、この夏はノーシードで大会を迎える。
大切なことは考えて野球をやること
八千代松陰のグラウンドは学校の敷地内にある。両翼100m、センター120mと十分な広さを確保。ティー打撃ができるサブグラウンドも近くにはあるので、全員が一斉にあらゆる場所で練習ができる環境は整っている。 ただ照明施設がなく、学校が終わってからすぐに練習を始めても19時には下校。専用の寮施設を持っているわけではないので、各自自宅で自主練習をする形になる。
時間に限りがあるなかで結果を残している八千代松陰を率いるのは、沖縄尚学時代に甲子園を経験し、卒業後は筑波大でプレーした兼屋辰吾監督だ。 兼屋監督が伝えているのは、考えて野球をやることの大切さだ。そこには筑波大時代に経験したことが関係している。 筑波大といえば首都大学野球に所属しており、同リーグには東海大や日本体育大などがいる。いまでこそ、全国の舞台で結果を残す逸材が筑波大の門を叩くケースが多くなったが、兼屋監督の現役時代は現在ほどではなかったという。 それでもリーグ戦で勝つためには、「考えて野球をやる必要があった」と勝つ手段を見出す創意工夫を凝らすために、考えることを学び、習慣化されたことが八千代松陰の野球の土台になっているのだ。
OBたちの功績から見えてくる共通点
考えるための工夫は、練習のなかに織り込まれている。 取材日の練習を見ていると、選手間での会話が多く、確認はもちろん、指示出しや指摘の声が頻繁に飛び交う。活気ある練習が行われている印象を受けたが、これは兼屋監督のなかで「周りが声をかけることで、その選手に原因をわからせる」ためにも大切だと考えているからだ。 実際、「勉強だって、例えば長文読解が苦手といっても、ポイントやコツがわからないのか。語彙力や読むスピードが遅いとか、原因を明確に把握できないと対策できない」と兼屋監督は補足説明する。