ボーイングのスト終結、賃上げ案を承認 6日にも生産再開へ
[シアトル 4日 ロイター] - 米航空機大手ボーイングの労働組合は4日、4年間で38%の賃上げなど条件を改善した会社側の新たな労働協約案を承認した。7週間にわたるストライキが終結することになり、ボーイングは経営立て直しを急ぐ。 米西海岸の同社工場で働く3万人余りの労働者は、9月13日から16年ぶりのストを開始し、会社側の提案を2回拒否していた。 4日の投票には全体の約80%に相当する2万6000人余りの組合員が票を投じ、賛成票は59%に上った。 米北西部の工場従業員が加盟するボーイングの最大労組、国際機械工労組(IAM)の交渉責任者ジョン・ホールデン氏は「これは勝利だ」と表明。賛成票が59%だったということは提案に不満な人もいることを意味するが、労使が関係を再構築することは可能との認識を示した。 バイデン大統領は労働者とボーイングを祝福し「団体交渉が機能することを示した」と述べた。 ボーイングのケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は従業員へのメッセージで、「この数カ月はわれわれ全員にとって困難なものだったが、みな同じチームの一員だ」と述べ「ボーイングを象徴的な企業にした卓越性を取り戻すために、多くの仕事が待ち受けている」と呼びかけた。 ボーイングを巡っては、新型機737MAXのドアパネルが飛行中に外れる事故が今年1月に発生するなど問題が相次いでいたが、今回のスト終結は朗報となった。 ただ、2人の関係筋によると、737MAXの生産数については当面は月産1桁にとどまり、スト前に目標としていた38機には遠く及ばないという。 IAMは、6日にも生産が再開され、従業員は12日までに業務に戻る必要があると説明した。しかしボーイングは、一部従業員は職場を離れた期間が長くトレーニングを受けなおす必要があるとしている。 アナリストによると、今回のストでボーイングは1日当たり約1億ドルの収益機会を失ったほか、投資適格級の格付け維持のために240億ドルの資金を先週調達した。 ジェフリーズのアナリストによると、今回の賃上げによりボーイングの人件費は4年間で11億ドル拡大する。また、組合員1人当たり1万2000ドルのボーナス支給により、さらに3億9600万ドルを支出する可能性があるという。