FRB金融安定報告、インフレより債務の持続可能性が最大のリスク
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)は22日、半期に一度の金融安定報告を公表し、政府の債務負担を金融の安定性を脅かす最大のリスクに位置付け、根強いインフレよりも大きなリスクだとの見方を示した。
「米財政における債務の持続可能性が、今回の調査で最大の懸念材料に挙がった。次が中東での緊張激化、その次が政策の不透明性だ」と報告書は説明。調査はニューヨーク連銀スタッフによって8月下旬から10月下旬にかけて実施された。
報告書は金融市場関係者を対象とした調査結果に加え、資産バリュエーションや企業・家計の借り入れ、金融セクターのレバレッジ、資金調達リスクなど主要4分野のリスク状況について、FRBの評価を含めている。
銀行セクターは「健全かつ全般的な回復力を」維持しているが、ヘッジファンド全体のレバレッジはデータが入手可能となった2013年以来の最高、もしくはその付近にあると報告書は指摘した。
家計に目を向けると、クレジットカードと自動車ローンの延滞率が平均水準を上回っており、特に信用スコアの低い家計ではそれが顕著だという。家計および企業の債務に対するぜい弱性は全般的に「中程度」と評価した。
「債務全体に占めるこうした借り手の債務は比較的小さい割合で、高い延滞率は一部の家計が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に借り入れを増やしたことも反映しており、家計の返済能力が突然広範囲に悪化したという訳ではない」と報告書は述べた。
FRBは資金調達リスクが低下したものの、依然として「留意に値する」と指摘。ステーブルコイン資産は前回報告時より「著しく伸びた」とし、時価総額が11月初めまでに1700億ドル(約26兆3200億円)を上回り、2022年4月に記録した過去最高に迫ったという。
「こうしたデジタル資産には取り付けに対する構造的なぜい弱性があり、連邦当局による包括的で慎重な規制の枠組みが欠落している」と指摘した。