<上海だより>酉年。旧正月「過年」と西暦「跨年」どっちがリアル年越し?
THE PAGE
個人商店では軒並みシャッターが降り、会社でも上海人以外はやや早めに休暇を取り始め、工場に至っては早々から休業。そんな旧正月である春節を迎えて、やはり年末だな、とつくづく感じます。
ただ、近年は上海市内の外環線内側においては花火や爆竹が禁止され、中心部ではかなり静かな旧正月に一変してしまいました。かつては、街全体で爆発音が鳴り響き、花火も各家庭で打ち上げるため、360度花火、といってもおかしくないくらいの光景を見ることができました。いまでは、外環線の外側である郊外エリアまで行かないと、そういった古き良き中国の旧正月感を味わうことができません。
昨年の年越しも相当な数の警官が上海中心部に張り巡らされたのが話題になりましたが、やはり今年もボランティア含め、かなりの数の巡回を中心部では見かけることができました。数年前までは、朝まで花火や爆竹の音が鳴り響き、全然寝られないのが旧正月の醍醐味でもあったのですが、いざ全く音がなくなると、どうしようもない寂しさも感じます。 そんな中、おせち営業を終えた、とあるレストラン前では全スタッフが焚き火をしながらささやかに新年を祝っている光景も見られました。オーナーいわく、「年越しなのに、爆竹を鳴らせないだろう?でも、うちのスタッフみんなの気持ちは、やっぱり何かをして祝いたいんだよ」と、年末も働いてくれたスタッフ達への労いとして、せめてもの焚き火で新年を祝いたいという想いも感じられました。
ちなみに、中国語で旧正月を迎えることを「過年(グォニェン)」と言います。一方で、日本人や欧米にとっての西暦での年越しでは「過年」と言うこともありますが「跨年(クァニェン)」と言うことが多いです。上海のように欧米人も多く、国際化が進む都市では「跨年」も徐々にイベント化しつつありますが、しかし日本人にとってのクリスマスやハロウィンのような、娯楽感のあるイベント程度な感覚です。 とはいえ、新年の挨拶である「新年快楽(シンニェンクワィラァ)」は「跨年」前後でも言いますし、旧正月前後でも当然言いますので、なぜか新年を二度祝っている感が出てきています。もちろん、西暦の新年では1月1日が祝日なだけであり、生活上はただの3連休の週末ですので、特に新年が来た、という感覚はありません。また、旧正月時には「新年快楽」ではなく、あえて「春節快楽(チュンジェクワィラァ)」とか「鶏年快楽(ジーニェンクワィラァ)」などと言うのが多い気もします。