沖縄と自衛隊(28)/石垣・自衛隊住民投票/防衛政策を地域が問う意味は
去年4月、開設したばかりの石垣駐屯地の隊員らにこう強調した中山義隆石垣市長。先月末、住民投票を巡る訴訟の終結などを受けQABなどの取材に応じました。 中山石垣市長「賛成反対ではありませんと。ただ島の人たちがどう考えてるかを知りたいから住民投票したいとそれ本当に若い人たちが動き出して。私はそれに対して非常にいい動きというか今までなかった動きだと思ってますし、この活動をしてきたメンバーに対しても敬意を表したいなと。それをサポートした皆さんにも敬意を表したいと思います」 求める会側が主張していたのは、有権者の4分の1の署名で行えるとした当時の自治基本条例の規定に基づく住民投票の実施。条例の解釈を巡って裁判にも発展しましたが、中山市長は別の手段もあったと強調します。 中山石垣市長「市長が議会に提案したこと自体で、もう(市長の)義務を果たされてると思っています。裁判を起こしていろいろ動いてたんですけども、その時々の流れでですね。実は与党が圧倒的な多数な状況でもなかったので住民投票を再度請求すれば可決してたような状況というのも何度もあったんですけども、そういうのが出されてなかった。石垣市の自治基本条例じゃなくて地方自治法でも出せば700名余りの署名さえ集めれば何度でも請求できるのに、その作業を一切してこなかったんですね。だからそれは非常にもったいないなというふうに思います」 宮良さん「最初から市が実施していればここまでなんだろう、変なこじれた問題にはならなかったはずなのにっていうのはありますね」 一方、石垣市住民投票を求める会で活動を続けてきた宮良麻奈美さん。住民投票の実現に向けて裁判に踏み込んだ経緯をこう語ります。
宮良さん「難しい裁判だとわかっていた。住民投票をしたその結果が賛成でも反対でも国策に自分たちの意見を通す・影響させる反映させるってことは、今の日本では難しいということもわかっていました。もう市長がやらないって言ったからやりませんとか、議会が否決したからやりませんみたいなことになってしまうと、この条例の目的・意義というのを会が受け入れてしまったら次に住民投票したいってこの条例でしようとする市民の方々にも影響が出ると思う。だから初めてこの市条例で請求した団体として裁判をやる必要があるって私は思って裁判闘争踏み込んだっていうのがあります」 宮良さん「住民投票が求められた自衛隊配備と島の記録・記憶に残せたことは実施はできなかったものの、大きな意味があると思う」 解散集会では、こう強調していた宮良さん。6年間続いた会の活動や、政府や権力者のふるまいを島の歴史の一ページとして記録する重要性を感じていました。 宮良さん「民主主義って時間がかかるし、労力もかかるし、簡単というか楽ではない。思考停止していられないものだと思うんですね。未来の人たちが、過去を振り返ったときに、ただの南西シフトの自衛隊配備っていうものから住民投票が求められた。そこに島の人たちが関わろうとしたっていう行動の記録を残せたことはやっぱり、私達は透明人間ではなかったってことを示すことにもなる。自分で言うのも何ですけど気概というものは次の世代にも伝わると思う」 2019年2月に行われた辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票。石垣市の住民投票も会側は、県民投票との同日実施を目指して動いていたといいます。防衛政策を住民投票で問うことへの懸念を中山石垣市長はこう強調していました。