釧路湿原の大量メガソーラーに土地買取で対抗、原野商法で取得した土地「手放したい」人々も
なぜ市町村は不要土地を受け取らないのだろうか。「管理コストと管理責任が半永久的に続いていくからです。受け取るということは、行政目的があるから、受け取って管理責任を負担していくわけです。使い道のない土地をもらえば、火災、不法投棄、土砂災害が起きた時、管理責任を問われることになる。人もお金もないなかで、個人の財産にかかわることに積極的に首は突っ込まない」。吉原さんはこのように説明する。 しかし、中長期的には、土地の管理や利用を個人や財産を継いだ親族にまかせている現状を変えなくてはいけない。吉原さんをはじめ土地問題にかかわる人々はそう考える。吉原さんは「自然環境保全のために土地の買い取りを進める民間の団体と自治体が何らかの形で協力、連携して活動するなどの方法が有効ではないか」と指摘している。
釧路市には、2023年7月に施行された「自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」がある。また、市と釧路湿原自然再生協議会(国、北海道、釧路市、釧路町など5市町村、民間団体、個人で構成)はそれぞれ、ホームページで希少生物の生息適地を明示し、そこへの設置を避けるよう発電事業者に呼びかけてきた。 しかし、市内の太陽光発電施設は2014年6月には96施設だったが、2023年12月には631施設と6.6倍に増えた。このうち出力1000kW以上のメガソーラーは22カ所。太陽光発電施設の進出に歯止めがかからない。市と市議会は現在、ガイドラインの条例への格上げを検討中だ。
河野 博子 :ジャーナリスト