若い女性の流出...対策待ったなし 福島県、20~24歳が社会減の3割
福島県で急激に進む人口減少への対策が喫緊の課題となっている。12月1日現在で比較すると、減少数は4年連続で2万人を超えており、高止まりといえる状態だ。特に若者の県外流出は深刻で、年代別では20~24歳の女性が1860人(2023年)と社会減の3割近くを占めた。若い女性が少ない状況は、婚姻数減少や少子化の主な要因と指摘されており、県は年度内に見直す総合戦略を踏まえ、対策に本腰を入れる方針だ。(報道部・高崎慎也)
男性の1・31倍
男女別の本県人口の推移は【グラフ】の通り。少子化や転出超過による急速な人口減が続き、現在の県人口は約174万人。この10年間で20万人近く減少した。 県内の女性の転出超過は、18~23年の6年間で全国で2番目に多い計1万8666人となっており、男性の1・31倍に上る。さらに、20年の国勢調査では県内の20~34歳の未婚の女性1人に対する男性の人数の比率は1・35人と全国で最も高くなった。女性の県外流出が多い状況を反映し、県内で若い世代の女性が少なく、男性が多いという状況が起きている。 男女比の偏りは、県内の婚姻数や出生数にも影響している。18年と23年の婚姻数、出生数を比較するといずれも30%近く減り、全国で3番目の高さだった。同期間の1夫婦当たりの子どもの数に大きな変化はなく、初婚同士に限れば2・1人から2・3人に増えている。このため県は、男女比の偏りに起因した未婚化が少子化の要因になっていると分析する。
労働環境、一因に
今年、首都圏に住む本県出身の若者を対象に県が初めて行った実態調査では、働く企業に求める条件について「残業や休日出勤など長時間労働が少ない」「有給取得率が高い」など、労働環境を重視する意見が上位を占めた。若者が求める働く場が県内に少なく、大学進学などで県外に出た若者の「還流」が進まない要因の一つになっている。 県は今月、人口ビジョンを5年ぶりに見直し「40年に県人口150万人程度」とする目標を堅持することを決定。人口減少を抑制するための指針となる次期総合戦略の素案では、女性をはじめ若者の流出抑制に向け、魅力的な職場づくりを進めることを打ち出した。
「官民一体」が鍵
民間有識者らでつくる「人口戦略会議」は4月、2050年までの30年間で20~30代の女性が5割以上減ると推計される「消滅可能性がある」市町村を公表。県内では原発事故の影響が残る浜通りを除いた46市町村のうち33市町村が該当するとされ、危機感は高まる。 県は、近年のデータから「若年女性の県外流出に歯止めをかけなければ、少子化を食い止めるのは難しい」(復興・総合計画課)としており、新年度以降は各種対策にさらに力を入れる方針だ。ただ雇用の受け皿確保など課題の解決には行政の対応だけでは限界があり、民間も含めた全県的な取り組みができるかが鍵を握りそうだ。
福島民友新聞社