混沌ドラフト“隠れ1位”の熱視線を集める立正大の153キロ右腕黒木
一方で、最初は「何言ってるんだ?(苦笑)」と思ったという黒木のプロ入りを熱心に勧めた石黒滉二監督は、こう語る。 「入学当初から地肩が強くてバネがあるなと。背筋も強く、そのフィジカル面だけでもプロに行けると思い『将来、野球でメシ食えよ!』と、度々ハッパかけてました。実は内野手として、下位指名を検討してる球団があったので。当時は(投打)どちらでも行けると思ってましたね」 立正大では、1年秋から早くも主戦を任されるなど登板機会に恵まれ、2年秋には自身初となる150キロの大台をマーク。3年時には東都選抜に選出。今春オープン戦では、最速153キロを叩き出すなど、ほぼ順調な成長振りを見せている。 最大の武器は「馬力がある」「スピードボールが魅力」などと、各スカウト陣がこぞって絶賛する直球だ。 立正大進学後、その出力が上がった理由を黒木に尋ねた。 「オフ期間中の下半身強化の成果ですかね。単に瞬間的な球速だけを上げるのではなく、アベレージを上げるために。具体的には、投球動作を取り入れたウェイトや、両足にチューブを付けて中腰の体勢のままカニ歩きするトレーニングの2つです。毎オフやってましたが、より力を入れるようになったのは、3年秋終わってからですね」 特筆すべきは「趣味の釣りで自然に鍛えられた」という、リストの強さを生かしたクイックモーションだ。プロでも1.2秒を切れば合格点と言われるが、黒木は最速1.1秒と、それを上回っている。またクイックでも、球威やスピードが落ちないのも、大きな強みだ。 「場合によっては、クイックの方が球速出ます(笑)」 ちなみに高校時の持ち球は横スラとフォークの2種類。 現在は縦スラ、バックドア、カット、カーブ、チェンジアップなど格段に増え、直球で押すだけでなく、器用さも併せ持つ。遊撃手出身ゆえのフィールディングの巧みさや、そのゆったりしたフォームから、ロッテのエース・涌井秀章を彷彿とさせる伸びシロ十分の逸材右腕だ。