センバツ2024 阿波の南輝く光 光跡は記憶に ベスト4ならず /徳島
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第9日の28日、阿南光(徳島)は準々決勝で星稜(石川)に0―5で敗れた。春夏を通じて初のベスト4進出を逃し、徳島勢として第75回大会(2003年)の徳島商以来21年ぶりの4強入りもならなかった。それでも、初の8強入りを果たし、この日も昨秋の明治神宮大会王者を相手に最後まで諦めずに戦った選手たちには、三塁側スタンドから大きな拍手が送られた。【来住哲司、藤倉聡子】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 昨秋の明治神宮大会王者との決戦に、阿南光はベストメンバーで臨めなかった。2回戦までフル出場していた芝山拓人、矢藤颯太の二遊間コンビが体調不良のためベンチ外。体に張りのあるエース右腕・吉岡暖(はる)も先発を回避した。 今大会初めて登板した2年生右腕・大坂将太。三塁側アルプス席で父の直哉さん(54)が「球場に来て先発を知ってびっくりした。自分の力を出して、試合を作ってほしい」と見守る中で投げたが、一回に適時打を浴びて1点を先制される。二回には4連続長短打を浴びて途中降板した。 打線は4点を追う三回無死、今大会初出場の7番・奥田日向汰(ひなた)がチーム初安打となる左前打を放った。昨秋の公式戦出場もなかっただけに、母の百合子さん(43)は「出られてチームに貢献できてよかった」と喜色満面。後続が2死三塁と好機を作ったものの、無得点に終わった。 二回途中で救援した吉岡は「四回から登板と考えていた。体の張りが結構あって、思うように動かない」と、制球重視で打たせて取る投球を心掛けた。四回に先頭打者を歩かせたことから失点したものの、それ以外は無失点に抑えて「自分の力は出し切れた」と納得の投球だった。 打線は相手投手を打てず、わずか2安打で零封された。主将の6番・井坂琉星は「直球に押され、差し込まれていた」と力負けを認めた。今大会では昨秋の東海、九州両大会優勝校を連破し、旋風を巻き起こした阿南光。収穫と課題を持ち帰り、聖地を後にした。 ◇「心身成長」誓う ○…公式戦初先発がセンバツ準々決勝。阿南光の背番号18、大坂将太には荷が重かった。右横手から低めを突く投球を心掛けたが、二回途中で5安打4失点で降板。「ボール先行でリズムがつかめないままだった」と肩を落とした。昨秋は徳島県大会準々決勝で2回を投げただけ。今大会の2回戦前には、対戦相手のエース右腕の独特な投法をまねて打撃投手を務め、打線をサポートした。「メンタルを強くし、もっと体作りをして、甲子園に戻って自分の投球をしたい」と誓った。