トヨタ「“軽”2000GT!?」がスゴイ! 美麗ボディの「2ドアオープン」はまさかの“スズキ製”!? ロングノーズ完全再現の「2020GT」とは
当時、世界最高峰の記録を連発した「2000GT」
日本が世界に誇る名車は無数にあります。その中でもとりわけトヨタ「2000GT」は、オークションで日本車最高額約3億円を記録するなど、日本の名車の筆頭に挙がる1台となっています。 【画像】超カッコイイ! トヨタ「“軽”2000GT!?」を画像で見る(16枚)
2000GTは、1965年(昭和40年)開催の「第12回 東京モーターショー」でデビューした2ドア・ファストバッククーペのスポーツカーで、1966年には最高速度チャレンジで、3つの世界記録と13の国際新記録を打ち立てた当時最高峰の走行性能を誇りました。また、そのときに記録した最高速度は1980年代まで破られることがありませんでした。 2000GTはトヨタとヤマハの共同開発で開発され、エンジンやヤマハ製で車名の由来にもなっている2.0リッター直列6気筒DOHCに、3連キャブレターを装備。当時の一般的な乗用車の最高出力が50馬力ほどだったところ、その3倍の150馬力を誇りました。 販売期間は、1967年から1970年で、ほとんど手作りだった2000GTは、たった337台という総生産台数という超希少モデルとなりました。 また、車両価格も特別で、当時の大学初任給が3万円台だったときに、当時のクラウンの2倍以上の238万円となっていました。現在の消費者物価指数は、昭和40年代前半の約4.5倍ですので、今の価格に換算すると約1000万円の超高級車となります。 そんな2000GTは、レプリカも多数制作される国産車では希有な存在となっています。
軽自動車をベースに2000GTを再現
2000GTレプリカには、オリジナルを忠実に再現したものが多いですが、「日本自動車大学校(通称:NATS)」が2020年に開催した「東京オートサロン 2020」に出展した「2020GT」は、独創的な発想で2000GTを再現しました。 NATSは、軽スポーツ・オープンカーのスズキ「カプチーノ」をベース車両に選択したことが最大の驚きでした。 カプチーノは1991年から1998年の販売期間で、当時の軽自動車は現在の規格より全長は10cm短い3.4m以下、全幅は8cm狭い1.4m以下の規格で生産されたモデルとなります。 2000GTのボディサイズは、全長4175mm×全幅1600mm ×全高1160mmと、現代のスポーツカーと比較するとコンパクトな部類に入るものの、NATSは全長3295mm×全幅1395mmの“軽自動車”「カプチーノ」に2000GTを縮めて再現しました。 カプチーノのホイールベース2060mmに対してNATSは250mm延長し、2310mmにしました。これは2000GTのホイールベース2330mmにかなり近づけています。 また、カプチーノのボディの各部もストレッチして2000GTの造形を忠実に再現していました。 これには相当大変な作業があったようで、当時のNATSの担当者は「NATSでは当たり前にボディをストレッチしていますが、実は結構大変な作業がテンコ盛りで、フロントサイドメンバー、ブレーキパイプ、ラジエータホース、コンデンサーパイプ、配線…などと多数に及んだ」旨を語っていました。 また、2000GTの特徴的なリトラクタブルライトはマツダの初代「ロードスター(NA型)」のヘッドライトを流用し、テールライトや砲弾型フェンダーミラーは汎用品を用いたとのことです。さらに、2020GTのオーバーフェンダーはESB製の「Battle Works」を選択し、足まわりはレイズ「TE37V」のホイール、トーヨータイヤ「TIRES PROXES R1R」を装着して固めていました。 なお、エンジンは、カプチーノに搭載されているスズキの名機「F6A」をそのまま流用したとのことでした。 このカスタムカーの車名、2020GTは出展した東京オートサロンの開催年、2020年とオリジナルの2000GTの名称を掛け合わせたものとのことでした。 NATSは、毎年学生らによって非常におもしろい企画をし、高い技術力でもって完成度の高いカスタムカーを出展しています。 2025年に開催される東京オートサロンでは、どんなカスタムカーを出展してくるのでしょうか。期待が高まります。
佐藤 亨