冬眠明けのヒグマに遭遇! 雪の春山で獲物のエゾシカを軽々とくわえて!?
自然写真家として野生動物をターゲットにしている佐藤圭さんは、北海道の山々に入って撮影することが多い。近年、生息数が増えているヒグマと遭遇することは決して珍しいことではないそうだ。 【画像】ヒグマがエゾシカを…貴重ショットを見る! しかし、この春、目撃したヒグマはこれまでとは違い、ヒグマが猛獣であることを実感する姿だった……。
予定より早く目が覚めてしまい
2024年4月初旬、まだ雪深い山中で冬眠明けのヒグマに遭遇しました。場所は北海道留萌地方の山中です。 そこは毎年、エゾユキウサギを撮影する場所で、この日もまだ雪深い山中で物陰に潜んで望遠レンズ越しにウサギを探していました。 すると、木立の中に真っ黒い影が……。 獲物であるエゾシカを捕獲したばかりのヒグマでした。 距離もあったので、そのまま隠れて観察していると、気配を悟ったのか、エゾシカをくわえて移動し始めました。 捕えたエゾシカをくわえ移動するヒグマ 立ち上がると想像の倍以上の大きさで、推定2.5~3mくらいはある成獣でした。 冬眠明けの割には丸々と太っていました。 この時期の北北海道の山中はまだ深い雪に覆われています。本来冬眠明けのヒグマが主食とする山菜がまだ生えていません。 早く目覚め過ぎてしまったために、眠りから覚めてすぐにエゾシカを捕まえては食べていたのだろうと想像できました。 大きなエゾシカをくわえて、軽々と引っ張りながら数百メートル進んで行きました。 こちらと距離が開いたので安心したのか、その場にエゾシカを埋め始めました。
道路脇の茂みにはくれぐれもご注意を
ヒグマが獲物を隠したであろう痕跡を見たことがありますが、実際に獲物を隠す瞬間を見たのは初めてです。 エサの少ない春山でヒグマは必死に生きていました。野生動物が懸命に生きる姿に感動しました。日本最大級の大型哺乳類エゾヒグマが暮らしていける自然が、わが町の里山に広がっていることを誇りに思います。 昨年は、住宅街に出没する危険な熊に関するニュースが連日のように報道されていましたが、人里に現れることなく、静かに元気に暮らしてほしいと願うばかりです。 このヒグマは、翌日にはエゾシカを食べ尽くしていなくなりました。 毎年、ユキウサギを探す場所なのですが、今年は、この山には入らないようにしようと思います。 山に入れば、道路脇の茂みにもヒグマはいます。 観光客のみなさんはうかつに入り込まないよう、くれぐれもご注意ください。
佐藤 圭