銀座で100年近く続く町中華「銀座 萬福」 唯一残った洋食メニューと『エビ玉を一緒に頼むべき』というワケは?
●東銀座で大正時代から三代続く老舗中華料理店は、街の人たちの大事な食堂
ステンドグラスの扉に福助人形、大きなアーチ窓。町中華というより洋食店のような雰囲気の銀座 萬福。 【画像】これが人気メニューと店内の様子です(15枚) 「昔からずっと同じではないですよ、平成15年の建て替えの時、おじいさんの時代のハリや壁が出てきたから、それを活かした内装にしたんです」と話すのは3代目の久保英恭さん。 初代のおじいさんが、大正時代に銀座の屋台から始め、1929(昭和4)年に現在の場所に開店。およそ100年の間、銀座の人たちのお腹を満たし続けています。
「昔は『西支料理』と言ってね。日本料理に対して舶来料理という意味で、洋食も中華も提供しているお店だったんですよ。ハイカラでしょ。初代はもともと洋食のコックだったけれど、父の代になると戦争が終わって、大陸から引き上げてきた人たちが多く食べに来た。そこから餃子がメニューに入ってね。段々洋食メニューが減っていって中華料理が中心に。今では洋食は1品だけになったんですよ」 大正時代の屋台から店舗へ、そして戦火をくぐり抜け、戦後は中華中心に。価格が高い洋食より、提供が早くすぐに食べられて、しかも良心的な価格の中華が、おそらく高度成長期の銀座で働く人たちに喜ばれたのではないでしょうか。 「うちは簡単に言えば街の食堂。毎日食べに来られるような店じゃないとみんな困るからね」 と笑顔で話す久保さん。もちろん銀座生まれの銀座育ち。5月にあるお祭りでは、4斗樽酒を店頭で振る舞うほどの祭り好きでもあります。 平日は近くで働く人たちが、そして週末や夜には家族連れが訪れることが多く、父から息子、孫へと、3代、4代にわたって通い続けるお客さんも多いそうです。そんな銀座 萬福に来たら必ず食べたい、おすすめの3品を紹介します。
●屋台の頃から変わらぬ味。初めて食べても懐かしい美味しさ!「中華そば」800円
醤油がしっかり聞いた鶏ベースのスープに細い縮れ麺。初めて食べた人でも、懐かしい美味しさの中華そば。 「昔は支那そばって言ってたんだけどね」と店主。 初代が屋台で作っていた頃からの変わらぬ味です。作り方を聞いても「詳細は企業秘密で」とニッコリ。門外不出、でもみんなが大好きな、あの味です。