「政治報復を終わらせる」と語った共に民主・李在明代表の「報復政治」【12月2日付社説】
先週末にソウル都心で開催された野党・共に民主党の集会で「6カ月以内に決着をつけよう」という発言が飛び出した。同党の金民錫(キム・ミンソク)最高委員は「金建希(キム・ゴンヒ)を刑務所に行かせよう」「50日後に米国でトランプ氏が大統領に就任する前に現状を変えよう」などと訴えた。来年上半期には金建希夫人への特別検事による捜査や尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾などで情勢をひっくり返したいようだ。 【写真】ソウル中心部の大通りを埋め尽くすデモの人波
共に民主党が「6カ月」という期限を設定したのは、同党の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する選挙法違反の二審、三審裁判が関係している。李在明代表は11月15日に選挙法違反の一審裁判で懲役1年、執行猶予2年の判決を受けた。選挙法の裁判は一審は6カ月以内、二審と三審は3カ月以内に終わらせると法律で定められている。韓国大法院(最高裁判所に相当)の曺喜大(チョ・ヒデ)院長も裁判を遅延させない方針を表明してきた。そのため李在明代表の二審と三審が来年上半期までには終了し、大法院でも判決が下される可能性は決して小さくはない。 もし今回の一審判決が確定すれば、李在明代表は大統領選挙に出馬できず、共に民主党は大統領選挙時に補てんを受けた434億ウォン(約46億6000万円)の選挙費用も返還しなければならなくなる。これを阻止するため大法院で判決が確定する前に尹大統領弾劾などで政局をひっくり返したい考えを共に民主党はもはや隠そうともしないのだ。李在明代表防弾のために国を混乱させてやるという意味に他ならない。 李在明代表はつい先日「政治報復の悪循環を断ち切る」と発言し「包容と和解の政治」という言葉も口にした。ところがその翌日に共に民主党は崔載海(チェ・ジェヘ)監査院長の弾劾を表明した。監査院が文在寅(ムン・ジェイン)前政権による数々の不法行為を監査したことへの報復を開始したのだ。共に民主党はソウル中央地検長など複数の検事に対する弾劾も予告しており、さらに検察、警察、監査院、大統領府の予算も次々と削減した。李在明代表に手を付けた政府機関に対して予算削減と弾劾で報復し、捜査も妨害しているのだ。 共に民主党は「ミョン・テギュン氏の選挙候補者公認取引疑惑」で尹大統領と金建希夫人を李在明代表の名前で検察に告発した。金建希夫人特別検事法も改めて採決するという。党の一部からは尹大統領弾劾と任期短縮を目指す憲法改正も推進しており、また「尹錫悦政権糾弾」を掲げる集会も毎週続けている。報復に向けたあからさまな扇動だ。「政治報復をやめる」と言いながら、一方で「報復政治」へと突き進む李在明代表の言葉をどう受け取ればよいのか。