大統領選までいよいよ半年弱、バイデン政権を悩ます「悪夢の1968年シナリオ」とは何か
■「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」かもしれない 作家マーク・トウェインいわく、「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」。2024年と1968年の間には、確かにどこかサイクルが重なっているようなのだ。 民主党にとって何よりゲンが悪いのは、今年も党大会はシカゴで予定されている(8月19~22日)。はたして、そのときまでに中東情勢が収まり、反イスラエル・デモは沈静化しているだろうか。 オキュパイ・ウォール・ストリート運動(2011年)のように長期化したり、ブラック・ライブズ・マター運動(2020年)のように全米に拡大したりすると、バイデン陣営にとっては容易ならざる事態となってしまう。
困り果てているのは、リベラル派の有識者たちである。有力紙のオピニオン欄には、その手の論説が増えている。5月1日付のニューヨークタイムズ紙では、元東京支局長で今も健筆をふるっているニコラス・クリストフ氏がこんなことを書いている(筆者抄訳) 。 「まず、学生たちの道徳的野心に敬意を表したい。自分は1960年代の反ベトナム戦争世代である。あの戦争は確かに間違っていたが、自分たちは戦争を短くすることはできなかった」
「1968年の左翼活動家たちは、平和候補のマッカーシーを大統領にすることはできず、むしろ彼らの混乱は秩序を求めるニクソンの当選を助ける結果となった。この歴史は記憶されるべきだ。善意や共感だけでは不十分で、結果が大事なのだ。あなたたちの活動はガザの人々に役立っているだろうか」 若い世代に対し、大人が苦しい「説得」、あるいは「お説教」を試みている図式である。まあ、いい大人が「君たちの気持ちはよくわかる」なんてことを言い出したら、若者は素直に信じてはいかんだろう。あいにくZ世代は新聞など読んでいないだろうし、それこそTikTokなどで情報を得ているのかもしれない。そして流行のSNSが、中国やロシアの「反イスラエル」世論工作下にあるとの観測も絶えないところだ。