緊急避妊薬の処方も実施 性暴力の被害者を総合的に支援「SACHICO」が存続の危機 病院から退去求められ『大阪府による移転先の確保』を訴え
大阪唯一の“性暴力被害のケア拠点”が存続の危機に陥っています。 【画像を見る】大阪府に移転先確保などを求める署名活動を行う人々
10月11日に会見を開いたのは、NPO法人「性暴力救援センター・大阪SACHICO」の医師らです。SACHICOは、性暴力の被害者が医療・心理・法律相談などの支援を総合的に受けられる大阪唯一の「ワンストップ支援センター」ですが、入居する病院から退去を求められています。 2010年に松原市の阪南中央病院の中に開設されたSACHICO。支援員16人が24時間体制で性暴力の被害相談に応じ、病院内にあるため、緊急避妊薬の処方、性感染症の検査なども行うことができました。 これまでにのべ1万4000人以上が来所しましたが、性暴力の被害の診察には時間がかかる上、今年4月に医師の働き方改革が始まったこともあり、来年3月に病院から退去を求められてるのです。
利用経験のある人からは「病院の中にあることで救われる部分がある」との声
府内に住むユリさん(仮名)。今年9月下旬、大阪府にSACHICOの移転先確保や運営費の支援を求める署名を集めていました。娘が性犯罪の被害に遭いSACHICOに助けられた経験があります。 ユリさんの娘(22)は3年前、路上で見知らぬ男(当時39)に突然、声をかけられ、無理やりホテルへと連れ込まれ、わいせつな行為を受けました。娘は特定の場所や状況で声が出なくなる「場面緘黙(かんもく)症」であるほか、知的障がいがあり、首を横に振ったものの声を出して断ることができなかったといいます。娘はホテルの部屋から逃げようとしたものの、男が前に立ちふさがり、逃げることができなかったということです。事件後、ユリさんは娘をSACHICOへ連れていきました。 (ユリさん)「最初に行ったときに、『あなたは悪くないよ』っていうことを、支援員さんから伝えられる。安心して相談したり、回復のことを考えられたりするということが一番よかった」 ユリさんの日記には、娘の心のケアのほか、性感染症の検査を受けたことが記されています。こうした支援センターは別の県では、病院内ではなく独立してある場合も多いのですが、ユリさんは「病院の中にあることで救われる部分がある」と話します。 (ユリさん)「どうやって72時間以内の緊急避妊薬に間に合わせるかとか、ワンストップ支援センターは本来病院拠点型であるのが一番いいと思っている」
「移転先が病院でなければ、被害者の負担を大きくしてしまう」
そして、10月11日。SACHICOは性被害への支援は公益性が高く、大阪府が責任を持って移転先の病院を確保してほしいなどと訴えました。 (SACHICO 久保田康愛代表)「医師と支援員が共同して被害者の対応に当たることができたので、被害者の方も落ち着いて後につながることを話せる。(移転先が病院でなければ)被害者の負担を大きくしてしまう。SACHICOができる前に戻ってしまう」