「新保育制度」で子育てはどう変わる? 市町村が主体、認可施設を増やし質も改善
財政措置を一本化する「施設型給付」
それでは、新制度の大きな柱である「施設型給付」と「地域型給付」という2つの制度を見ていきましょう。まずは施設型給付からです。 施設型給付とは、これまではバラバラだった「認定こども園(0~5歳対象)」「幼稚園(3~5歳対象)」「保育所(0~5歳対象)」に対する財政支援を一本化するものです。 具体的には現状、保育所だったら厚生労働省から保育所運営費が、幼稚園だったら文部科学省から私学助成や幼稚園就園奨励費が、認定こども園だったら幼稚園部分、保育所部分それぞれに対して安心こども基金から運営費用が支払われています。新制度では、それらを基本的に施設型給付費として一括して支払うことになります。 ただ例外もあり、私立幼稚園は施設型給付で受け取るか、これまで通りの給付かを選ぶことができます。独自の教育方針があったり、従来の助成で運営できるような事業所は施設型給付へ移行しないところもありそうです。 施設型給付の対象となる保育所と認定こども園の最低定員は20人以上で、幼稚園では定員を設けていません。
小さな事業を機動的に展開する「地域型保育給付」
もう一つは「地域型保育給付」の創設です。以下の4つの保育を「地域型保育事業」として、新たに基準を設けて市町村が認可する形になります。 対象となるのは、 (1)定員が6人以上19人以下の「小規模保育」 (2)定員5人以下のいわゆる保育ママの「家庭的保育」 (3)ベービーシッターなどの「居宅訪問方保育」 (4)企業などが社内に設ける「事業所内保育」 これらのサービスには今まで、それぞれ統一した基準がありませんでした。そのため今回、国が基準を定め、市町村による認可事業にして支援対象とすることで、質を担保しながら一体的に整備していくことにしました。幼稚園や保育所より小規模ながらも、地域の実情に合ったきめ細かい保育を展開することが狙いです。待機児童は都市部に集中し、また3歳未満の児童が8割を占めることから、こうした保育事業も機動的に進めて「受け皿」を確保していきます。 また、人口減少が進む地方でも、隣の自治体の認定こども園などと連携したり、小規模保育の拠点を整備したりすることで、遠距離が原因で母親が利用をあきらめるような状態を改善していくとしています。