J1町田がブレない理由とは。黒田剛&藤田晋が語る【まとめ】
3.藤田晋「黒田剛監督の言語化能力は高い」。その中身、試合前の声かけ術とは
藤田 黒田監督の強さの一つとして高い言語化能力があります。先日も社内で講演をしてもらったのですが、言葉を集めることに苦労されていて1週間ぐらいを費やすそうです。 講演を聞いていてわかったのですが、同じ言葉を言われると辛いですよね。限界まで走った選手が試合に負けて「もっと走れ」と言われたら、もうやってらんないとなるわけです。 黒田監督の場合は話の視点を変えて、言葉を変えて、一人ひとりに伝えていく。言葉を変えて伝えられると改めて頑張ってみようと思う。でも、長いシーズンを通してかける言葉を変えていくのは大変なことです。 黒田 伝えるということは、伝えられる側がどのような言葉をどのタイミングで聞きたいのかを察知した上で「伝える」ということです。 言いたいことを一方的に伝えたり、相手に響かないタイミングでも強引に伝えたりするのは、伝えたことにはなりません。あくまでも「聞く側」の都合が重要だということです。 指導現場では、パフォーマンスを発揮しやすい言葉や、モチベーションが上がりやすい言葉を選択して伝える必要があるということです。なので、こういう言葉をかけてもらったら自分だったら頑張れるなっていう言葉や情報を探し続けることが私の日課なんです。
4.【J1町田・黒田剛×藤田晋】「高い目標や夢を持って頑張るだけでは無理」結果が出ない組織を変えるために必要なこと
黒田 経営の経験の長い藤田さんに具体的に聞いてみたいのですが、結果が出ていないチームや組織を変えるために必要なことは何だとお考えですか? 藤田 例えばですが、サイバーエージェントだと「KKK会議」と呼ばれている「企業価値改革会議」があります。 業績が悪化している関連子会社や部署内の事業をKKK会議に送って、第三者が分析、事業をやめるか、トップを代えるか、存続させるか……いずれにしても何らかの決断を出さないといけません。 ダラダラとやり続けるのが一番最悪です。一度ちゃんと審査して存続という決断ならそれでいいのですが、いずれにしても何か手をつけなければいけません。 ただ、サッカーチームというのは毎週が天王山みたいなものです。あれはキツイですよ。 J1昇格プレーオフの決勝戦(2023年3年12月2日、国立競技場、東京ヴェルディが引き分けてJ1昇格)のような試合であれば誰でも熱弁が振るえると思いますが、毎週のリーグ戦の勝負どころで、その間に天皇杯やカップ戦が入るのにもかかわらず、言葉を変えながら伝えるというのは難易度が高いです。