「グラウンドで絶対、選手にウソをつかない」神戸・吉田孝行監督の信念、ブラジル人名将が指導法原点
◆明治安田J1リーグ▽最終節 神戸3―0湘南(8日・ノエビアスタジアム神戸) 首位の神戸が3―0で湘南を下し、リーグ2連覇を達成した。 ********** 神戸・吉田孝行監督には信念がある。「グラウンドで絶対、選手にウソをつかない」。2年半で神戸を常勝軍団にした指揮官は「自分がブレたら選手がついてこない」と誰に対してもストレートに思いを伝えてきた。 名将の指導法が原点にある。柏時代に優勝するなどJ1で実績を残したブラジル人のネルシーニョ氏が15年に神戸監督に就任すると、吉田氏はコーチとして携わった。「彼はイエス、ノーがはっきりしていた。大事なこと」と学びの多い時間だった。だから、自身が監督になると日本代表経験のあるベテランにも「求めているものを100%出し切れなかったら使えない」とはっきりと伝えた。イニエスタを特別扱いすることもなかった。 「選手と話すのはうまくない」と謙遜するが、負傷した選手の状況はスタッフに聞くだけではなく、直接連絡するなどコミュニケーション能力にもたける。かかとをけがした際、靴に入れるクッションを贈られた佐々木は「ちゃんと見てくれている」と信頼を置く。 「監督業? しんどいですよ。でも、みんながついて来てくれて、結果を出してくれたら、また次頑張ろうって思う」。吉田監督の厳しさと優しさが導いた2連覇だった。 ◆吉田 孝行(よしだ・たかゆき)1977年3月14日、兵庫・川西市生まれ。47歳。兵庫・滝川二高を経て95年に横浜F加入。以降は横浜M、大分でプレーし、2008年から現役引退する13年まで神戸に所属。17~18年、19年に神戸を率い、21年の長崎を経て、22年6月に3度目の神戸指揮官に就任。23年にJ1初優勝に導いた。
報知新聞社