9月7日から「白露」。秋へと移ろう季節を感じて【二十四節気とフローリスト】
古来から伝わる「二十四節気」は、春夏秋冬の季節を6つずつに分け、それぞれの期間に季節の変化を表す名前をつけたもの。気忙しい日々だからこそ、暦に合わせて咲く色とりどりの花から活力をチャージしたい。ようやく暑さがおさまり、十五夜のお月見が楽しみな時季──秋の入口・白露にぴったりの花束を東京・高円寺の「Lopnur」に束ねてもらった 花束にはアンスリウムやトルコキキョウなど、夏の名残も感じられる
白露 9月7日~9月21日
朝晩はようやく涼しくなり、水蒸気が草木におりて露が白く光って見えるころ。路地に青い露草を見かけたり、燕が南へ渡ったり、季節がゆっくり夏から秋へと移ろいでゆく。 2024年の中秋の名月は17日。現代でも月見のお供に欠かせない月見団子は、関東と関西で違いがあり、関東は丸団子だが、関西では餡が巻かれた楕円形の団子を備える風習がある。秋の澄んだ空気の中に浮かぶ満月を、団子とともに愛でてみてはいかがだろうか。 「Lopnur(ロプノール)」の店主・西 夏帆さんは、テラコッタカラーの壁紙に合うような赤や茶系の草花を中心に仕入れる。ガーベラやダリア、秋の七草のひとつの撫子にピンクッションなど、西さんが得意とするオレンジ系の草花に、頭を垂れる稲やオクラなどの遊び心をプラス。生命力を感じさせる秋の花束に、白露のイメージでラッピングを施したこの店らしいブーケの完成だ。
高円寺の南口、パル商店街の脇道のさらに小道にある「Lopnur」。海外でたまたま見つけた路地にある不思議な魅力を放つ店のような雰囲気にしたかったという西さんの言葉どおり、テラコッタカラーの壁面とパワフルな草花が並んだ店構えは、まるでどこかの国の店に迷い込んだかのような錯覚に陥りそうになるほど、異国情緒に溢れている。 細い路地の中に店があるため迷ってしまう人も多いそうだが、大きな窓からのぞく花々が見えるとワクワクしてしまう、たどり着くまでのプロセスも楽しくなる花屋だ。 ひとりでも目が行き届くお店にしたかったとのとおり、隠れ家のようなこぢんまりとした店構え。コーヒー屋とのイベントを行ったり、タロット占いスペースとして場所貸しをしたりと、高円寺らしさを感じられる催しを行うこともあり、今後も街の雰囲気に合った異業種との交流を随時行なっていきたいと話す西さん。 店名の由来は、中央アジア・タクラマカン砂漠にかつて存在した、数世紀にかけて消えては現れた、さまよえる湖と呼ばれている”Lop nur (ロプノール) ”。その儚さと記憶に残る様子が、咲いては枯れる花にも通じると感じたという西さん。忘れられない花束をオーダーしたい時に訪れてみてはいかがだろうか。 Lopnur ロプノール 住所:東京都杉並区高円寺南3-45-13 深瀬会館1階 電話番号:03-6767-7226 定休日:月・火 営業時間:12:00~18:00 最新のオープン状況はインスタグラムから 参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA 『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社 山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版 『くらしのこよみ 七十二の季節と旬をたのしむ歳時記』平凡社 TEXT BY YURI TAKAHASHI