【100歳の100の知恵】自分の身を削ってまで義理に縛られることはない。老齢になったら、儀礼的なおつきあいは排し、大切な人との心のつながりを大事に
101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。 * * * * * * * <100歳の100の知恵 90> ◆<私のしないこと十訓>『心のつながりを大事に。義理のおつきあいはしない』 私はいわゆる盆暮れの贈答はしません。その代わり、友人や知人、お世話になっている方に贈りものをすることはよくあります。 とくにおいしいものを食べたとき、「あの人にもぜひこれを食べてもらいたい」「あの人ならきっと、この味が好きなはず」と、誰かの顔が浮かんでくるのです。義理のおつきあいも、なるべく避けるようにしています。 とくに80歳を過ぎてからは、身体的な負担も大きいので、パーティーなどにも顔を出さないと決めました。 長い間、日本では、季節のご挨拶や冠婚葬祭など義理のおつきあいをきっちりすることが美徳であり、人としての作法だと考えられてきました。でも、自分の身を削ってまで義理に縛られることはないと思うのです。 とくに老齢ともなれば、体力も衰えてきます。「歳のせいで疲れやすくて」と言えば、たいていのことは受け入れてもらえるはず。 時間的にも精神的にも負担になる儀礼的なおつきあいは排するけれど、大切な人との心のつながりは大事にする。それでいいのではないかと、私は考えています。
吉沢久子
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