日銀の国債購入減額計画と利上げの同時決定、3割超が予想-サーベイ
JPモルガン証券の藤田亜矢子チーフエコノミストは、同会合を通じて「事前に減額を織り込ませる過程で市場の混乱がなければ、減額の詳細決定は7月利上げの制約にはならないだろう」とみている。物価上振れリスクが出始める中で、「緩和修正の過度の先送りのコストは高まっている」という。
バランスシート
国債買い入れの減額計画に関しては、現時点での市場のイメージは緩やかなものと言えそうだ。日銀は現在、月間6兆円程度の買い入れを続けているが、調査の中心的な回答を基準にした場合、減額計画の決定直後に5兆円程度とし、半年ごとに段階的に縮小して、2年後の買い入れ額は3兆円程度となる。
足元で580兆円程度の長期国債の保有額については、2年後に520兆円程度に圧縮されるとの見方が中央値となった。日本の経済規模に対する日銀のバランスシートの割合の高さは主要国の中央銀行でも突出しているが、520兆円は国内総生産を7%下回るだけだ。植田総裁は6月会合後の会見で、「長期的に望ましい状態にまで1、2年で到達できるとは思ってない」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスの長井滋人在日代表は、減額計画で「バランスシートの正常化が一定程度進んでも、植田氏の任期中の正常化達成は難しい」と指摘。日銀はいずれはフローベースでの国債買い入れのコミットをやめ、「最適な国債保有規模の目安や考え方をストックベースで示した上で、償還国債の再投資を含めたある程度のQE(量的引き締め)を政策ツールとして残す体制に移行する」とみる。
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Sumio Ito, Cynthia Li