異業種「化粧品ブランド」花盛り……江崎グリコや富士フイルム
◆写真フィルム技術を応用
異業種メーカーの化粧品事業参入では2006年に富士フイルムが進出したことで、話題となりました。同社が2007年に投入したスキンケア商品「アスタリフト」は松田聖子と小泉今日子を起用したテレビCMがヒットし、同シリーズはわずか4年間で売上高100億円に到達。「現在も売り上げは順調に推移している」(同社)といいます。もともと同社の主力事業だった写真フィルムの厚みは髪の毛の太さと同じで、フィルムの経年劣化や保持などのためにコラーゲンなどの物質が使われており、こうした技術をコラーゲンを配合したスキンケア化粧品シリーズにも応用しました。 写真業界は1990年代後半からデジタルカメラの普及が加速し、写真フィルムの市場規模は縮小傾向が予想されました。こうしたことから事業構造の見直しを迫られていたともいえ、化粧品事業への思い切った進出につながった背景があります。 このほかにも製薬業者の技術を生かしたロート製薬の化粧品ブランド「Obagi(オバジ)」や、アミノ酸の研究を活用した味の素のブランド「JINO」、また酒蔵メーカーも酵母技術を生かし参入するなど、本業の研究開発で得意とした成分を化粧品に投入する動きが目立っています。
◆意外な業界の参入も?
国内の化粧品市場はここ5年間、2兆数千億円前後で推移し、成熟市場といわれ、既存の大手化粧品メーカーと異業種の新規参入業者がシェアをめぐり激しい競争を繰り広げています。その中で、異業種メーカーは独自技術を生かし、原料にこだわった付加価値の高い化粧品シリーズを提案することで価格設定を高めにできると考えています。また、資金余裕のある40~60代の女性をターゲットにすることで安定した売り上げの確保を目指しています。 一方、インターネットの普及によって化粧品も通販で買うことに抵抗感がなくなりつつあることから、グリコのように販売チャネルを通販に特化するといった動きも出ています。こうしたことから、今後はIT業界など「まさか」という業界から化粧品に参入する動きがみられるかもしれません。