自分のデスクがないオフィス、社員が出社しない一因にも-見直し進む
(ブルームバーグ): 従業員をオフィスに呼び戻すために、会社は高級コーヒーやヨガクラス、音楽を楽しむDJパーティーをちらつかせてきた。しかし、それでもまだ十分ではないため、一部の企業は従業員に昔ながらの特典を与えることにした。自分のデスクだ。
ホットデスクやホテリングは、社員がそれぞれに割り当てられたデスクを持つのではなく、出社時に使用するデスクを予約する仕組みで、目新しいものではないがハイブリッドな働き方の新時代に企業が経費を節約する方法として大流行した。
今、一部の企業はそれが行き過ぎたのではないかと気付いている。衛生面の懸念や個人向けにアレンジしたスペースがないオフィスの魅力のなさなど、ホットデスク制度には多くの不満があり、在宅勤務を促す要因になっている。
そのため、セールスフォースなど各社は社員に専用デスクを割り当てることで、オフィス内で過ごす時間を増やすことができないかと考えている。オフィス設計会社のゲンスラーによれば、ここ数年減少していた専用デスクが、米国では増加傾向にある。
ボストン・コンサルティング・グループやハネウェル・インターナショナルのオフィスを設計した建築事務所HOKのインテリア担当ディレクター、ケイトリン・ターナー氏は「顧客企業は従業員にオフィスに来ない言い訳を与えたくない。机を共有させようとすれば、従業員はそっぽを向く」と話した。
社員はただ気難しいのではない。心理的にも物理的にも、毎日同じデスクに向かうという儀式から得られる快適さがあるのだ。ギャラップの新しい調査によれば、従業員の77%が何らかの理由で不満を抱いている現在、これは重要なことだ。「心配事が一つ減るのだから」とターナー氏は言う。
机の上に家族の写真を飾れば、何のために働いているのかを思い出すことができるし、人間工学に基づいて自分用に調整された椅子は違いをもたらす。オフィス環境で最も重視される点についてのHOKの調査で、椅子は常に上位にランクされた。