先生の「複業・兼業」、メリット多くても困難な特殊事情!に風穴を開けるには 許可されやすい兼業、許可されにくい兼業とは
教員が複業すべき理由
皆さんは「複業」という言葉にどのようなイメージをおもちでしょうか。 一般的には、個人の能力開発や、収入の増加ではないかと思いますが、「教員の複業」は、社会の様々な問題を前進させることができると私は考えています。 例えば、限られた時間でタスクをこなすスキルが上がったり、複業によって、学校外の仕事の仕方に触れることで業務効率化のヒントを得られます。学校外との連携がうまくなったり、慣れない環境に身を置くことによる学習効果も期待できるでしょう。 『先生が複業について知りたくなったら読む本』では、実際に許可が下りた事例や、複業実現のための手段もたくさん掲載しています。 下記は、私が独自に114名の先生方にアンケートを取ったときの、結果の一部です。アンケートによると55.3%の先生方の退職の検討に複業が関係していることがわかります。また、96.5%の先生が複業を「ぜひ挑戦してみたい」「少しやってみたい」と回答しました。 やってみたいと回答した先生方の主な動機は、「収入を増やしたい」「スキルアップしたい」「異業種、異業界の人との接点をもちたい」「資質向上、視野の拡大につながると感じるから」の4つの項目が上位となりました。 この結果を見ると、「先生方は複業に対して何らかの研修効果や所得の拡大を期待しており、それらに制限をかけられることによって退職を検討したことがある人が半数以上いる」ということが見えてきます。逆に言えば、複業をしやすい環境をつくり出すだけでも、教員のワークエンゲージメントは向上する可能性がありそうです。 教員のライフスタイルの変化は、社会に大きな変革をもたらす可能性があります。外界への関心の芽をもつ先生方は、いまはまだ様々な困難や葛藤に直面することが多いでしょう。現状の学校はまだ、外界での挑戦を気軽に話せる雰囲気ではありませんし、制度が時代に追いついているとは言えない状況だからです。 そんな中でも、学校外に越境した先生方が少しでも教育に好影響をもたらすことができれば、それはそのまま先生方の越境の可能性を示すことにつながります。また、学校教育からは少し遠い場所にいる人たちにもその有用性を知ってもらうことができれば、社会の理解が得られ、少しずつ道は切り開かれていくのではないでしょうか。 (注記のない写真:sumito / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部