どう読み解く?星野源と新垣結衣「ラジオでの夫婦共演」に見る本当の意味
■自分の声に集中してもらえるラジオ 番組冒頭、星野さんは「やっぱり今日はこのお話からしたいなと思って」「先週、水曜日の夜に起きたことをみなさんも知ってるかと思います」と切り出しました。滝沢ガレソさんのXにおけるフォロワーは約274万人であり、日本国民(約1億2400万人)の2~3%程度にすぎません。それでも「みなさん知っている」という前提で切り出したところに、ネット上で拡散されることの危うさが表れていました。
続いて星野さんは「インスタグラムのコメントにものすごい数の誹謗中傷があって」「日本中から憎悪を向けられた感覚になった」「本当に恐ろしかったし、本当に悲しかった」「もう二度とあんな気持ちになりたくない」とショックの大きさを次々に吐露。 そのうえで「ファンのみんな、とってもつらかったと思います」「ファンのみんなに安心してほしいんですよね」とファンを気づかい、「100%、1つもやってません。完全なデマです。この噂、臆測に事実は一つもありません。安心してください」と語りました。あえて強調するような話し方をしたところに、「ラジオで語ること」の狙いやメリットを感じさせられます。
それは次の「もちろん『ラジオでふれない』って(選択も)全然あると思うんですよ。“本当に”ありえないことだから、『何でこんなことになってるの』っていう……“本当に”。だから言うことが少なくて。“本当”に1から100までないんですよ。『100%ないんですよ』っていう」というコメントにも表れていました。 会話の際にこれだけ「本当に」というフレーズを続けると逆に「嘘っぽい」などと疑われやすいものですが、この場は自分中心で発信できる音声メディアのラジオ。自分の声のみに集中してもらえる場であえて同じフレーズをたたみかけることで、まるで歌詞のサビを繰り返しているときのような説得力を生んでいました。重要なことを伝える際、「傾聴してもらえる」という意味でラジオは、テレビやYouTubeにはない強みを持っていることにあらためて気づかされます。