初日から大行列も「オペレーションが悪い」と散々書かれて…。秋葉原の大人気ラーメン店「ほたて日和」。元バーテンの店主はこうして超人気店を作り上げた
■オペレーションを改善していった 及川さんは、逆に提供の遅いお店と思ってもらえたらラッキーだと思考を変えて、少しでもオペレーションを改善すればよく思ってもらえるのではと努力を重ねた。 それぞれの席にサイコロを置き、初めてのお客さんには食べ方の説明をし、リピーターのお客さんには説明を省くオペレーションを導入した。 及川さんはバーテンダー時代を思い出し、とにかく無駄を落とすことを考えた。 一流のバーテンダーは無駄のないきれいな所作が美しい。忙しくても慌てず無駄のない動きをすることで美しく見えるのだ。その頃の経験を思い出し、オペレーションを少しずつ改善していった。
年が明け、1月の後半ごろから3時間待ちの日も出てしまい、土日は記帳制を導入することにした。ゴールデンウィーク頃からさらに行列が長くなり、6月の平日で4時間待ちという日が出て、7月にはテレビで紹介されることが決まっていたことから、全日記帳制に切り替える。 「『ネット予約をなぜしないのか』という問い合わせが多くありますが、ネット予約はお店にとってはメリットしかありません。事前に来るお客さんの人数がわかり、会計も楽で、売り上げも安定します。ですが、常連さんにとっては、食べたい時にすぐに食べられないというのは問題なのです。お客さんのことを考えると今は記帳制にするしかないかなと考えています」(及川店主)
■目先の売上より、目の前の客に真摯に向き合う それでも土日は朝7時から8時ごろに夜の分まで埋まってしまうため、来客数よりも断っている数のほうが多いという。ノイローゼになりそうなこともあったそうだ。 「記帳でなければ×1.5倍の売り上げが見込めますが、常連さんのためにはそうするわけにはいきません。お断りするのは本当に忍びないのですが、来てくださったお客さんに真摯に向き合うのみです」(及川店主) もともと人通りがあまり多くない場所だったので、のんびりお店をやるつもりだったが、想像もしないぐらいの大行列店になった。これほど話題になったのはやはりエンタメ性と味が両立しているからだ。