春風亭一之輔、私の中の「圧勝」を考える ごはん VS. パン、和式VS. 洋式トイレ、鳥取 VS. 島根…その結果は?
落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「圧勝」。 【写真】「またトラ」で分断深刻化 トランプ氏が激戦州全て制する「圧勝」 現地で何が起きたのか アメリカ大統領選はトランプさんが圧勝。兵庫の斎藤さんも蓋を開けてみれば、そんなかんじか。もうちょっとハラハラドキドキしたかった。しかしまぁ、なんだか今後もドタバタしそうだけども、さてどうなることやら。 鼻くそをほじりながら、世の中を憂い、寝っ転がって尻を掻きながら、いろいろ真面目に考えてみよう。 ■私は錯乱する ということで、私の中で「これは〇〇の圧勝」と思うものをいくつか並べてみたい。すべて個人的な意見です。 (1)カジュアル VS. フォーマル カジュアルの圧勝。出られるものなら結婚式もトレーナーにチノパン、サンダル履きで出たい。ご祝儀もポケットから裸で出したい。コース料理よりアラカルトで好きなものを食べたい。気楽なのが一番。実際スーツなんか年に一度か二度も着ればいいほうだし。私の葬式はみんな胡座かいて車座で、茶碗酒飲みながら、ザルに香典集めて回るくらいでよろしく。 (2)ごはん VS. パン パンは、あれば食う。でも朝昼晩、すべてごはんでよい。嫌いじゃないよ、パン。でもごはんだ。もう考える暇もなくごはん。ごはんとパンがオーディションにきたら迷わず私は即ごはんを選ぶ。パンが私に色目を使ってきても、私はごはんを選ぶだろう。スイーツパンだろうがお惣菜パンだろうが白いごはんには敵わない。相手が悪かったね、とパンを労ってやろう。この世からパンがなくなっても泣かないが、ごはんがなくなったら私は錯乱するだろう。
(3)布団 VS. ベッド 布団の圧勝。我が家の寝室では布団。しかし、宿泊仕事の場合は圧倒的にベッドが多いのだ。しかたなくベッドで寝ているが、いつも布団に悪いなぁと思っている。そんな調子だから朝起きると身体が痛い。おそらくベッドが気づいてるのだろう。「この人、私の上で寝ているときに別の布団のこと考えてる……」って。なんならベッドにも申し訳ないじゃないか。モテる男はつらい。 (4)夏 VS. 冬 冬の圧勝。そもそも夏のご陽気さが性に合わない。アイツは軽い調子でこちらにからんでくる。「ってか、どっすかー!?」みたいな。ああ嫌だ。冬の爪の垢でも煎じて飲ましてやりたい。冬の奥ゆかしさ、慎ましやかさ、健気さ。ただ北国の冬は「あんちゃん、やってっか! どうだ、いっぺえっ!」とウザがらみしてくるから、この場合、私の住んでる関東の冬だ。食い物がうまいのも断然冬。寒いのは重ね着すればよいが、暑いからって裸になって皮膚を剥くわけにゃいかんのだ。 ■そもそも右利き (5)山 VS. 海 泳げないから、どう考えても山の圧勝。 (6)右 VS. 左 政治思想のことじゃなく、あくまでイメージ。左という字は「工」のスカスカ感がどうも心細い。また右の書き順の「ノ」から書き始めるというトリッキーさが好き。はらいから書くかな、普通。いいよね、アレ。よく「左ヒラメに右カレイ」というが、カレイのほうが好きだ。「舌平目」のムニエルよりカレイの煮つけがいい。少年野球をやっていたときも下手っぴだったのでずーっとライトだったし、そもそも右利きだし。子どもの頃は左利きにちょっと憧れてたけど、やっぱりなにかと日本は右利き社会だ。長いものには巻かれろ。断然右!