Z世代の「ジェンダーレス」は男女格差解消のカギ SHIBUYA109 lab.調査
世界経済フォーラム(WEF)が2024年6月に発表した最新の「ジェンダーギャップ指数」で、日本のランキングは146カ国中118位だった。ランキングが始まって以来、日本は下位に低迷し続け、主要7カ国(G7)の中でも最下位が定位置だ。東京・渋谷のファッションビル「SHIBUYA109」に集まる若者へのヒアリングや意識調査を手掛けるSHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣さんによると、いわゆるZ世代のあいだでも最も関心を集めている社会課題は「ジェンダー平等の実現」という。SDGs(持続可能な開発目標)を学校で学ぶなど、社会課題解決への意識が高い「SDGsネイティブ」と呼ばれるZ世代。長田さんにSHIBUYA109 lab.で実施した調査などを紹介してもらいながら、ジェンダーギャップ解消のヒントを探る。
日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位
私が所長を務めるSHIBUYA109 lab.は、主に15~24歳のZ世代の若者への調査や発信を通じ、SHIBUYA109の事業と外部企業のマーケティングを支援するチームとして2018年に立ち上げられました。SHIBUYA109館内でのヒアリングやグループインタビュー、意識調査などで、この世代のトレンドや価値観、行動について様々な角度から探り、リポートをまとめています。 2024年のジェンダーギャップ指数が発表されました。世界経済フォーラムがまとめているもので、経済、政治、教育、健康の4つの分野に関する統計データなどをもとに総合的に男女の格差を算出しています。日本の順位は146カ国中118位。女性閣僚が増えたことで昨年から順位を上げましたが、依然として低い水準にとどまっています。特に政治と経済の分野の格差が大きく、どちらもG7で最下位です。教育分野も2022年まで1位でしたが、高等教育進学率の男女差が影響し、昨年は47位、今年は72位とじりじりと順位を下げています。 SHIBUYA109 lab. が2024年3月に15~24歳の男女455人を対象に実施した調査でも、「SDGsの17の目標のうち、日本がより力を入れて取り組むべきだと思うもの」の第1位は「ジェンダー平等を実現しよう」でした。同じ設問を2020年から毎年尋ねていて、「ジェンダー平等を実現しよう」は常に一番多く票を集めています。 最大の理由は、彼らにとって最も身近な社会課題だから。2021年の調査では、日常生活でジェンダーやLGBTQ+(性的少数者)関連で「違和感を持つシーンや言葉がある」と回答した人はおよそ6割に上りました。グループインタビューでも、「自分が気に入っている洋服・メイクについて『男の子ウケ』にはこうしたほうがいいと言われ疑問を感じた」「家族内で女性が家事をするものだという決めつけがある」「男子がメイクやネイルをしていると『キモイ』と言われる」「ラーメン屋さんで小盛りを頼みたいけど女性限定で注文できなかった」など、男女を問わず、友人や家族との会話、学校や職場などでのジェンダーを巡るネガティブな経験談がたくさん寄せられています。「性別を理由に自分だけ優遇されているのではと罪悪感を覚えることがある」という声まで聞かれました。