なぜ?街中トム・ヒドルストンの看板だらけに…スティーヴン・キング原作の新作が最高だった:第49回トロント国際映画祭
映画『マイティ・ソー』シリーズのロキ役で知られるトム・ヒドルストン主演でスティーヴン・キングの小説を映画化した『ザ・ライフ・オブ・チャック(原題) / The Life of Chuck』が、第49回トロント国際映画祭でお披露目された。ユニークな構成のこの中編小説の映画化に挑んだのは、過去にも『ジェラルドのゲーム』『ドクター・スリープ』とキング作品を手掛けているマイク・フラナガン監督。多数存在するキングの映画化作品の中でも、トップクラスの一作といえる名作を生みだした。 【画像】『シャイニング』から40年後を描いた『ドクター・スリープ』 第三幕から始まって、第二幕、第一幕とさかのぼる形で展開していく本作。第三幕の舞台は、終末を迎えつつあるらしい世界だ。そんな時に『ドクター・ストレンジ』のキウェテル・イジョフォー演じる教師は、街中が謎の会計士チャック(トム)の引退を祝う看板だらけになっていることに気付く。彼の友人たちもこの現象を不審に思っているが、チャックの何がそんなに特別なのだろうか? 第二幕、第一幕ではそのチャックの人生が明かされていくことになる。
第三幕、第二幕、第一幕それぞれのセリフとシーンが共鳴して謎が解き明かされていく過程が、ただひたすらに圧巻。避けられない死で終わる人生に確かに存在する喜びとその意味をたたえた人生賛歌となっており、上映後のQ&Aに登壇したフラナガン監督は「自分の子供たちのために、世界に存在していてほしい映画として作った」と説明した。
チャックの人生においてダンスと喜びは強く結びついており、本作ではトムによるムーンウォークを含む絶品のダンスも堪能することができる。撮影の6週間前からあらゆるジャンルのダンスの動きを学んだというトムは、「4日間にわたるダンス(ダンスシーンの撮影期間)は人生で最も喜びに満ちた経験の一つだった」と笑顔を見せ、喜びのために観客にもダンスをすることを奨励していた。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのカレン・ギランや『スター・ウォーズ』シリーズのマーク・ハミルも出演している。(編集部・市川遥)
第49回トロント国際映画祭は現地時間15日まで開催