「1122 いいふうふ」が描く「公認不倫」「女性専用風俗」の向こうにあるもの 結婚10年目35歳ライターの共感度
夫婦の形は千差万別
人の数、夫婦の数だけ事情があり、それぞれが悩みに向き合う姿を真摯(しんし)に描いているところが、このドラマの魅力だ。関係は良好だがセックスレスの一子と二也は、性的欲求のすれ違いを埋めるために選んだ公認不倫で心のすれ違いに気づく。困難な子育ての中で、互いを理解できなくなった美月と志朗は、目を背けていた自身の問題に改めて向きあうようになる。 また夫婦間だけでなく、その家族との関係性にも目を向けている。姉(菊池亜希子)と母親(宮崎美子)と仲の良い二也に比べて、一子は母親(風吹ジュン)とうまくいっていない。間に二也が入って、一子の母親の世話をしたり、連絡を取り次いだりしていた。二也の親戚の集まりに参加した一子と二也は、叔父から老後のためにも子供を産むようせかされる。二也は「2人で幸せだから」とそれを制し、二也の母親も「家なんて終わる人は終わる。亡くなった人のことより、今生きている人の人生のほうが大切」と言う。 個人差はあるだろうが、結婚には互いの親戚や家族との付き合いがつきものという、リアルな部分も描かれている。経済的な負担や人生設計から、子どもを持たない夫婦が増えている昨今、家を継ぐという概念がなくなってきている時代の流れも反映している。 ちなみに私の夫の父は5人兄弟で、全員地元の沖縄にいる。次世代(夫の代)で家を継ぐのは誰が良いか検討していたようだが、結局後継ぎという形はとらないことにしたという。伝統を重んじるタイプの家系だったので夫自身驚いていたが、時代の流れもあり、それぞれの生き方を尊重したのかもしれない。 関係を立て直そうとする一子と二也が、悩みながらどんな答えを見つけるのか、ぜひ最後まで見届けてほしい。 ドラマ「1122 いいふうふ」は全7話、Amazonプライムで独占配信中。
サンドシアター代表 山田あゆみ