「1122 いいふうふ」が描く「公認不倫」「女性専用風俗」の向こうにあるもの 結婚10年目35歳ライターの共感度
欠点あっても悪者に描かない
私自身、現在35歳、結婚10年目で共働き。一子の境遇をとても身近に感じる。愛情と性欲がイコールにならないことも理解できるし、礼から甘い笑顔を向けられて「すっごくいい……」とうっとりする一子の気持ちもよく分かる。他の異性に感じるときめきは、この場合推し活に近いのかもしれないが。結婚生活が長年続くと、一緒にいることや気持ちが通じていることが当然のように感じて、相手に対して甘えてしまうこともある。公認不倫を招いた一子の発言は、その慢心から出たのだろう。 一方で、二也の不倫相手の美月(西野七瀬)も事情を抱えている。美月は、発達に遅れがみられる息子のひろ(千葉惣二朗)を育てる専業主婦で、二也とは生け花教室で出会った。夫の志朗(高良健吾)は「育児は美月の担当だから」と言って、子育てには一切関わらない。義理の母親はひろを治療しようと過干渉で、その対応にも嫌気がさしていたが、志朗は放っておけばいいとだけ言う。心の距離を埋められない夫への憤りと、日々の子育ての疲れや孤独感を二也とすごすことで解消していた。罪悪感を持ちながらどうしても手放したくない関係だったのだ。そんな中、二也から別れ話を切り出され、ショックを抱えながらも、自身の夫婦関係を立て直すべく、志朗と向き合うようになっていくのだが……。 夫婦関係で起こりうる問題をここでも描いている。美月が不倫を続ける理由も分からなくはない。そしてこのドラマでは、誰かを極端に悪者の立場にしていない。二也は美月と肉体関係を持った翌朝、一子に朝食を作る。事実だけ見ると嫌悪感を抱きそうだが、二也の笑顔はそんな感情を抱かせなかった。公認不倫だからということもあるが、二也の一子への優しさや関心が見えたからだ。また、子育てに無関心な志朗は一見ひどい夫のようだが、どう子どもと接していいのか分からず、無力感から美月に押し付けるような形になっていた。美月への愛情はあるがそれをうまく伝えられていない上、自分の殻に閉じこもっていたのだ。