至近距離でガン見する祖父の霊が怖い!化けて出てまで“送り火”をさせたかった理由に「泣ける」の声【作者に聞く】
お盆に実家に帰省していた主人公だったが、急な仕事が入って実家をあとにすることとなった。母親からは「今から?送り火、今夜よ」「こういうのちゃんとしないとじいちゃん怒るよー」と呼び止められるが、そのまま帰路につく。 【漫画】本編を読む/じいちゃんの霊の本当の目的は…? しかし、本当にじいちゃんが化けて出てきたのだから、主人公もビックリ!!車での帰路で、助手席に座り、恨めしげに孫の顔を至近距離でガン見するじいちゃんの幽霊。「悪かったよ」「来年はちゃんと送り火するから」と謝っても無駄で、カーナビの目的地を実家に変更するほどのパワープレーっぷり。無口で不器用なじいちゃんの霊は送り火をしなかったことを責めているのか?それとも、ほかの何かを伝えたくて化けて出てきたのか…? 本作「祖父の教え」を描いたのは現在、電子雑誌「comicタント」(ぶんか社)にて、都市伝説系漫画「ただのうわさです」(原案:飯倉義之)を連載中の三ノ輪ブン子(@minowabunko)さんだ。ホラー作品や都市伝説漫画をおもに描いている漫画家・三ノ輪さんに本作について話を伺ってみた。 ――じいちゃんの霊の絵がリアルで、生前の頑固っぷりが伝わってきました! ありがとうございます。私もそうだったのですが、現代って祖父母と一緒に暮らしたことがない人がほとんどだと思うんです。そうなるとじいちゃんって遠い存在で、たまに会うだけじゃ何を考えているのかよくわからず少し怖く感じるんです。頑固な、怖い顔に見えるのはそのせいかもしれません。でもじいちゃんが亡くなって自分が大人になって当時を振り返ると、あれは祖父なりの優しさだったと気づくことがたくさんあるんですよね。…思い返していて寂しくなってきました。もっとたくさん話をしておきたかったです。 ――三ノ輪さんの実家では“送り火”はされますか? 玄関の門の前で祖母が藁の束のようなものを燃やしていて、私たち子どもはその横で花火をしていました。おそらく正しい方法ではないと思います(笑)。ただ打ち上げ花火には死者への鎮魂の意味があると聞いたことがあるので、あながち間違いではなかったのかなと。祖父母が亡くなり今では迎え火も送り火もやらなくなってしまいました。くるくるまわる提灯や精霊馬などお盆の風習はすごく好きなので、またできる環境になりたいです。あの世でじいちゃんが怒っているかもしれませんしね。 ――現在連載中の都市伝説系漫画「ただのうわさです」が好評らしいですね! はい!実は、単行本として第1巻の発売が決定しました!電子書籍は8月16日(金)から販売開始です。Xやpixivの私のアカウントで詳しく内容の紹介をしていますので、ぜひチェックしていただけるとうれしいです! ――すごいですね。「ただのうわさです」はどういった漫画ですか? 「死体洗いのバイト」や「メリーさんの電話」など、昔からある都市伝説がスマホやネットが絡んで現代ならではのお話になっていたり、「タクシーの幽霊」などの馴染みのある幽霊話もあったり…と、短編読み切りでいろいろな話が登場します。各話で違う角度からお楽しみいただけると思います。 本作「祖父の教え」を読んだ読者からは「高性能じいちゃん」「じいちゃんかっこよすぎだろ」という声や、「ホラーだけど、ほっこり」「いい話」「泣ける」という声が届いた。ホラー漫画や怖い話を得意とする三ノ輪さんによる、お盆ならではのショートショート。どのようなラストとなっているのかは、読んでみてからのお楽しみ! ちなみに送り火とはお盆の行事のひとつで、おもに8月16日に行われる。お盆に帰ってきた死者の魂をあの世へと送り返す行事で、地域行事として大規模に行われるものもあるが、各家庭の玄関先や門、庭、お墓で行う地域も。ご先祖様を大切に思う迎え火や送り火の文化は、絶えず後世まで受け継がれてほしい日本の伝統行事である。 取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)