FIA、メルセデスF1代表トト・ウルフを「利益相反行為」の疑いでコンプライアンス調査を開始。機密情報を不当に手に入れた?
FIAはメルセデスF1のトト・ウルフ代表とその妻のスージー・ウルフを「利益相反」の疑いでコンプライアンス調査を開始した。 ハイライト動画|F1 2023最終戦アブダビGP 決勝 事の発端は、他のF1チーム代表によるウルフ夫妻の活動に関する苦情から、FIAが対処する必要があると判断したためだ。 前述の通りトト・ウルフはメルセデスF1のチーム代表であり、スージー・ウルフはF1の商業権所有者であるフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)が運営するF1アカデミーでマネージングディレクターを務めている。 ふたりは通常のルートでは知り得ない情報を入手している可能性があり、それが利益相反行為だと疑いがかけられているのだ。 スージー・ウルフはFOMとの交渉に役立つチーム代表の議論に精通しており、トト・ウルフはライバルF1チームの代表が知り得ないFOMの活動に関する極秘情報を入手したと考えられている。 また、F1チーム代表間で秘密裏に交わされた会話の内容が、ふたりを通じてF1上層部に漏れ伝わっているのではないかとの懸念の声もある。 BusinessF1が報じたところによると、最近のF1チーム代表者会議の中でウルフがFOMから得たとしか思えない情報をもとに発言したことが、他のチーム代表たちが不満を漏らすキッカケになったという。 ライバルチームが公の場でこの状況について懸念を表明することはなかったが、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、潜在的な利益相反の可能性があるとしてロビー活動を受けたようだ。 これを受けて、ベン・スレイエム会長はFIAコンプライアンス部門に調査を依頼した。 12月5日(火)に発表されたFIAの声明では、名前が伏せられたものの、次のように記された。 「FIAは、FOM関係者からF1チーム代表に機密情報が伝えられたという疑惑を中心としたメディアの憶測を把握している」 「この件については、FIAのコンプライアンス部門が調査している」 スージー・ウルフは今年3月にF1アカデミーのマネージング・ディレクターに任命され、その前には2018年から2022年にかけてヴェンチュリ・フォーミュラEチームの代表兼CEOを務めた。 F1アカデミーではマネージング・ディレクターとして、F1のステファノ・ドメニカリCEOの直属の部下となっている。
Jonathan Noble
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