アルミ圧延品、ハードディスク向け販売好調。生成AI普及で需要回復
ハードディスク向けアルミ圧延品の販売が好調だ。データセンター需要の回復を受けてアルミディスクの引き合いが活発化している。ハードディスクはパソコンや情報家電などで利用される大容量磁気記録メディア。素材である高純度アルミ地金を圧延工程でコイルとし、打ち抜き(ブランク)工程で薄い円盤状のディスクブランクに仕上げる。ディスクブランクはその後、表面を研磨加工して磁気記録のための磁性膜などを付加してハードディスクメーカーに供給される。 ディスク材需要を左右するHDマーケットは近年、コロナ禍でリモートワークに対応するためにデータセンター需要が伸びていたが、コロナ禍の終結とともに需要が一服。ノートパソコン向けはSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の普及で長い停滞局面を迎えていたため、データセンター向けの減速がディスク材需要を下押しした格好だった。 しかし今年に入ってから、生成AI(人工知能)の普及などによってデータセンター向けの記憶装置需要が急増した。データセンターは速度よりも記憶容量の大きさとコストを求めるため、SSDよりHDに優位性がある。 こうした需要環境の好転を受け、国内のアルミ圧延大手が手掛けるディスク材販売も好調に推移している。神戸製鋼所は真岡製造所、マレーシア拠点のディスクブランク販売が活発化しており、このほど開かれた上期の決算説明会で「上期のディスク材販売は前年同期に比べて2倍となった。下期も2倍まではいかないが堅調に推移すると見ている」(神戸製鋼)としている。UACJのディスク材販売も増加基調にある。 HD業界は需要の波が大きいため、需要減退局面となると荷動きが急停止する場面がある。しかしながらデータセンター向け需要がしばらく継続すると予想されており、アルミ板の出荷も底堅く推移する見込みとなっている。