データで楽しむ日米野球 ── 侍ジャパンが思わぬ苦戦を強いられる?
いよいよ10日から2006年以来8年ぶりに日米野球が開催される。今回は侍ジャパンの強化試合として、MLBオールスターチームと対戦する。そのため、タイブレークや球数制限など第4回WBCを想定した大会規定となっており、普段とはひと味違った真剣勝負が見られるかもしれない。今回は、そんな日米野球の楽しみ方をいくつかご紹介したい。
今回導入される大会規定の観点から見た楽しみ方
主な規定をまとめたモノが表1となっている。この中で特筆すべきは「投手の球数制限」と「タイブレーク制」の採用ではなかろうか。まずは「球数制限」について。ざっくり説明すると、投げた球数によって投手の次回登板に影響が出てくるよ、というもの。つまり、1958年の日本シリーズで稲尾和久氏が演じたような7試合中6試合に登板し5連投で日本一に貢献! ということは出来ない。 その詳細が表2。各投球数に応じて次回登板までの間隔が決まるため、首脳陣にもシリーズ全体を見通した作戦が必要とされる。その分、投手の役割分担をはっきりさせていないと、打ち込まれたからと言って次から次へと投手を登板させた挙句、制限に引っ掛かって明日投げられる投手がいません…といったような大事にもなりかねない。
問われる小久保監督の手腕
そこで侍ジャパンのメンバーはというと、表4にあるようにシーズンで中継ぎとして活躍している投手は2人で、他はすべて先発投手。小久保監督は「8試合もあって、1試合で先発できる投手が2人必要」と語るが、このメンバー構成がどう出るか。先発投手重視のメンバー構成で臨んだ前回WBCでは、救援重視のプエルトルコに苦杯を嘗めさせられ、同様の布陣のドミニカ共和国が優勝と、時代はまさに「球数制限」=「救援重視の布陣」となっているだけに、早速小久保監督の手腕が問われる形となる。
侍 投手陣 vs MLB 攻撃陣
とは言うものの、やるのは選手。「タイブレーク制」をご紹介する前に、選手の観点から見た楽しみ方もご提案したい。アルバート・プホルスやライス・ハーパーらが出場辞退する中、今季ア・リーグで首位打者、最多安打、盗塁王を獲得したホセ・アルトゥーベや37本塁打で同リーグ2位のクリス・カーターら好打者が揃ったMLBオールスター。そんな彼らを侍ジャパン投手陣が抑えられるのか気になるところ。 表3にはMLBオールスターの主力打者とMLBに在籍する(した)日本人投手の対戦成績をまとめた。彼らが直接対戦するわけではないので参考程度にはなるがご参照いただきたい。通算成績では3割超の選手が3人いるが、今シーズンに限るとアルトゥーベ以外は抑えているのが実情。このデータから言えることは、切り込み隊長であるアルトゥーベには若干分が悪いものの、しっかりとその後に構える中軸を抑えることは可能ということだ。