【アイスホッケー】「いつも、自分を信じること」。伊藤崇之(東北フリーブレイズ)と古川駿(横浜グリッツ)の才能。(後編)
「長い時間が経ったことを思い出した」初勝利。
10月15日のグリッツ-フリーブレイズ戦は、開始1分でフリーブレイズが先行して始まった。グリッツがすぐに再逆転するなど点の取り合いになったが、第3ピリオドにフリーブレイズが3連続ゴールを決めて6-3。伊藤はアジアリーグでの初白星を飾った。 プレー中は敵の攻撃を止めるのに必死で、「駿に対する意識はさほどなかった」という伊藤。試合が終わってから、さまざまな感慨が湧いてきたという。 「ああ、やっと駿に勝てたと思いました。大学の時は、試合で1回か2回やったきり。1度も勝っていないはずですから。しかも、アジアリーグでの初勝利。この1勝をつかむまでが、本当に長かったんです。昨シーズンのアジアリーグもほとんど出られなかったし、フィンランド、フランスでの生活もあった。大学を出てから1勝をつかむまで、長い月日が経ったんだと思いました」 伊藤の活躍にベテランの畑も気合を入れ直したのだろう、伊藤はその後、1カ月ほどサブに回った。そして11月19日、伊藤は栃木日光アイスバックス戦で完封勝利。1ピリから3ピリ、そして延長戦までゼロに抑えて、1対0で2勝目を挙げた。 「自分はこれくらいの試合ができるんだと思った反面、この結果はたまたまだとも感じました。畑さんはこれまで僅差の試合を勝っていて、チームに自信をもたらすのを僕は見てきているんです。自分はゴーリーとして、チームにいい影響を与えるまでには至っていない。これからの自分の課題です」 65分をゼロに抑えたバックス戦で、12月、全日本選手権の決勝で(エンプティの1失点を含めて)2-4で敗れている。 「全日本の決勝戦…集中力は間違いなくあったと思います。100のうち80か90の悪くはない出来だった。でも、ああいう局面で勝つには、120くらいの集中力を出さないといけないんだと福藤(豊)さんを見ていて思いました。まして準決勝で畑さんがPSでチームを勝たせて、1年前は橋本さんがMVPを取るほどの活躍で優勝した。フリーブレイズだけが連覇できる位置にいたのに、僕が台無しにしてしまったというのはあります。決勝の後、弟(俊之・アイスバックスFW)と一緒にカメラマンに写真を撮ってもらったのですが、僕はチームへの申し訳なさもあって、笑うことはできませんでした」