小嶋陽菜さん暴行事件はいくつもの罪に問える【「表と裏」の法律知識】
【「表と裏」の法律知識】#255 10月28日、東京・渋谷で写真集の発売イベントに出ていたタレントの小嶋陽菜さんがとんだ災難にあいました。イベント終了後、路上で突然男性に抱きつかれ、押し倒される暴行事件が発生したのです。この男性はすぐに捕まり、警察に逮捕されました。幸い小嶋さんにけがはありませんでした。 「辞職してすべて終わり」が正義なのか? 斎藤元彦・兵庫県知事の選択が焦点に この暴行事件について、2カ月前にはすでに小嶋さんの所属会社から警察に「過激なファンがいる」との相談がなされていましたが、言葉が通じないために十分な対策が取られなかったようです。今回の事件で逮捕された男性は「暴行するつもりはなかった」と供述していますが、彼の行動には暴行罪だけでなく、さまざまな犯罪となる可能性があります。 まず、小嶋さんに無理やり抱きつき、押し倒した行為は、彼女の同意がないため「不同意わいせつ罪」になる可能性があります。男性に性的な意図がなかったとしても、最近の判例ではこのような行為が「強制わいせつ罪」にあたると判断されるケースもあります。 また、この男性が小嶋さんを慕うファンであった場合、彼女を特定の場所で待ち伏せし続けたことが「ストーカー行為」とみなされる可能性があります。このような行為は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(ストーカー規制法)に違反するとされ、重い罪に問われることもあります。さらに、もし彼の動機が妬みや恨みであれば、「東京都迷惑防止条例違反」も成立する可能性があります。 芸能人や著名人は、このような危険にさらされる可能性が高いため、警察は著名人へ接触を試みる過激なファンに対して迅速に対応する体制を整えています。しかし、今回のように事前の相談があったにもかかわらず、十分な対策が取られないケースがあるのも事実で残念です。 小嶋さんのような被害者を出さないため、警察にはさらに細心の犯罪予防を考えてほしいものです。 (髙橋裕樹/弁護士)