揺るぎない師弟の絆(B3リーグ・岩手ビッグブルズ 後藤翔平)
「僕が島根を離れた後、1分も試合に出られないことが3年くらい続いたと思うんですが、くさらずに成長を求めてハードに練習しているという話は聞いてましたし、諦めない、やり続けるというハートの強さが彼の強み。これからもカテゴリーに関係なく、プロとしてやるべきことを一つひとつやっていってほしいですし、僕がそれを求めなくても彼はやれる選手。しっかりサポートしていきたいと思います」 ともに過ごしてきた時間が長い分、互いのことは他の誰よりもよくわかっている。鈴木HCにとっては、自身のフィロソフィーをチームに落とし込む上で後藤の存在が大きな助けとなり、もちろん後藤も自身にその役割があることを自覚する。 「僕がやろうとするバスケットを彼は全て理解しているので、僕が口下手で上手く伝えられない部分も彼が他の選手に伝えてくれて、行動に移してくれる。本当に欠かせない存在ですし、アシスタントコーチのような役割も果たしてくれていて、感謝してます」(鈴木HC) 「もうかれこれ10年くらいの付き合いになるので、話はしなくてもお互いの性格もわかるし、バスケットでも今コーチが何を考えてるのかは僕が一番わかると思います。鈴木HCの右腕と言ったらおこがましいですが、そこの部分でも貢献して、チームに還元していけるように、コーチの求めるバスケットをみんなに伝えてるつもりです」(後藤) 岩手への移籍に際しては、B1からカテゴリーを落とすことになる。そのことに迷いが生じてもおかしくないが、後藤はきっぱりと「それはなかったですね」と言いきった。 「僕としては、一番信頼してるコーチのもとでプロ生活を送るのが一番良いと思ってるので、どのカテゴリーであっても鈴木HCのバスケットをやりたい。常に求めてくるコーチですし、一切妥協しない。僕が出会ってきたコーチの中でも、そこは一番徹底してやるコーチなので、僕もまた成長できると思って岩手に来ました。コートに立つことが一番楽しいですし、プレーする喜びがある。それを教えてくれたのも鈴木HCです。大学を卒業してプロになったときに、正直プロのコーチがここまで怖いとは思ってなかったんですが(笑)、若いときにたくさん指導してもらったからこそ今の僕がある。鈴木HCには感謝しかないです」 シーズンはまだ半分も消化しておらず、先は長い。再昇格という目標も簡単なことではないが、チーム全体でその目標が明確になっていることも確かだ。キャプテンであり、指揮官の愛弟子でもある後藤は、自らに課された責任を果たすことに全身全霊を捧げる。 「僕たちが与えられた使命は必ずB2の舞台に戻ること。そのためにキャプテンにしてもらって、チームのことを任されているので、責任感を持って、コーチが求めるバスケットを浸透させていきながら、最後はプレーオフで優勝してまたB2の舞台に戻りたいと思います。いつかは安藤誓哉とマッチアップしたいですね」
吉川哲彦