ガソリンかディーゼルか? 超人気ランクル250&300を買うならドッチが正解か考えてみた
ランクルはモデルによってディーゼルとガソリンをラインアップ
いまはSUVが売れ筋で、国内で新車として販売される小型/普通車の30%以上を占める。その大半が乗用車系プラットフォームを使うシティ派SUVだ。4WD走行時の駆動力を高める副変速機を備えた悪路向けのSUVは少数派になった。 【画像】日本ではマイナーな存在の50系ランドクルーザーのフロントなどの画像を見る 日本では悪路といっても雪道が中心で、耐久性の優れたラダー(梯型)フレームなどを備える悪路向けの4WDは、実用面では必要ないといえる。そのために、シティ派SUVが主力になったが、最近はこのタイプが増えたことで、悪路向けのSUVが改めて注目されている。もともとSUVはジープのような悪路を走るためのクルマとして生まれたから、一種の原点回帰といえそうだ。 このような事情もあって、トヨタランドクルーザーの人気が高い。ランドクルーザーはシリーズ化され、その内訳は、1984年に発売されてからフルモデルチェンジを受けていない70、実質的にランドクルーザープラドの後継になる250、上級モデルとなる300の3種類が用意される。 これらの内、70のエンジンは直列4気筒2.8リッタークリーンディーゼルターボだけだが、250と300にはガソリンとディーゼルの両方がある。そのメリットとデメリットを考えてみたい。 一般的にディーゼルのメリットは、実用回転域の駆動力が高く、燃料消費量は少ないことだ。軽油価格の安さもあり、同サイズのハイブリッドに近い経済性を発揮するディーゼルもある。 その代わりディーゼルは、自然吸気では動力性能に不満が生じるため、いまの国内で購入可能なディーゼルは必ずターボを装着する。従って価格も高まる。また、ディーゼルは、ガソリンエンジンに比べると、実用回転域の駆動力が高い代わりに高回転域の吹き上がりは鈍い。
250はディーゼルを選択すれば間違いなしだが300は……
この点を踏まえてランドクルーザー250のエンジンを比べると、ガソリンは避けたい。動力性能が不足するからだ。直列4気筒2.7リッターでターボを装着しないため、最高出力は163馬力(5200回転)、最大トルクは25.1kg-m(3900回転)に留まる。この性能では、2240kgの車両重量に組み合わせるにはパワー不足だ。それでも街なかの平坦路だけを走るなら支障はないが、ランドクルーザー250なら高速道路や峠道の登り坂も走るだろう。そうなると物足りない。 直列4気筒2.8リッタークリーンディーゼルターボは、最高出力が204馬力(3000~3400回転)で、最大トルクは51kg-m(1600~2800回転)。後者はガソリンの約2倍だ。ATもガソリンの6速に対して、ディーゼルは8速だから動力性能を有効活用できる。 ディーゼルのWLTCモード燃費は11km、ガソリンは7.5km/Lだ。後者は重いボディに対して、エンジンの負荷が大きいから燃費でも不利になる。さらに、軽油価格もレギュラーガソリンに比べて1リットル当たり約20円安いから、ディーゼルであれば燃料代もガソリンの約60%に抑えられる。その代わりディーゼルを搭載するVXの価格は、ガソリンのVXよりも85万円高いが、ディーゼルには価格差以上の魅力が備わる。 一方、ランドクルーザー300は、V型6気筒3.5リッターガソリンツインターボが主力で、V型6気筒3.3リッタークリーンディーゼルツインターボは2グレードのみの設定だ。 ガソリンとディーゼルの両方を選べるZX同士で比較すると、ガソリンの最高出力は415馬力(5200回転)、最大トルクは66.3kg-m(2000~3600回転)になる。ディーゼルは309馬力(4000回転)・71.4kg-m(1600~2600回転)だ。 最高出力はガソリンが上まわり、高回転域の吹き上がりも活発で、ディーゼルは実用回転域の駆動力が勝っている。悪路ではディーゼルが使いやすく、ランドクルーザーの性格にも合うが、エンジンの選択は使い方と好みに応じて判断したい。WLTCモード燃費はガソリンが7.9km/L、ディーゼルは9.7km/Lだ。 なお、ZXの場合、ガソリンは3列目のシートを備えた7人乗りで、ディーゼルは2列の5人乗りになる。かつてのランドクルーザーには、ガソリンは3列シートのワゴン、ディーゼルは2列のバンという時代があり、開発者によるとその組み合わせを踏襲したという。 価格をZX同士で比べると、ガソリンが730万円でディーゼルは760万円だ。機能と価格のバランスで判断すればガソリンが割安だが、ランドクルーザー300は上級SUVだから、前述の通り使い方や好みに応じて選びたい。
渡辺陽一郎