急成長の中国クオンツファンド創業者、米国で起訴-企業秘密窃盗か
(ブルームバーグ): 急成長を遂げた中国のクオンツファンド、パインストーン・アセットマネジメント(磐松資産)の共同創業者が、企業秘密の窃盗容疑で米国で起訴された。事情に詳しい関係者が明かした。
マサチューセッツ州連邦地検の10月31日付声明によると、起訴されたのは上海出身の中国人シャオ・チャン氏(33)。チャン氏は2021年に同州で勤務していた世界的投資運用会社から、企業秘密を盗んだ疑いがあるという。同氏の詳しい素性や、被害に遭ったとされる投資運用会社の名称は発表文で触れられていない。
関係者によると、チャン氏は上海を拠点とするパインストーンの創業者2人のうちの1人で、最高投資責任者(CIO)を務める。この関係者は、非公表の情報だとして匿名を希望している。チャン氏は同社の筆頭株主で中国で勤務しており、米国と中国で弁護士を雇い、この件に対応しているという。
チャン氏とパインストーンはコメントを控えた。米国は中国と犯罪人引き渡し条約を締結していない。
パインストーンは最近、中国で最も高い運用実績を上げているクオンツファンドの一つ。設立から2年の同社の運用資産は、今年2月から2倍強に増加し、100億元(約2140億円)を超えた。激しい市場変動や規制強化への対応に中国のクオンツファンド業界が今年苦戦している中では、まれに見る成長ぶりだ。
中国のヘッジファンドを追跡調査する深圳市排排網投資管理によると、パインストーンは今年上期に10.3%のリターンを上げ、100億元以上を運用する中国のクオンツファンドのうちで成績トップ。同社は低頻度トレーディング戦略に注力する。
起訴状によると、チャン氏は21年、仮想プライベートネットワークを利用して中国から勤務先のネットワークにアクセスし、「会社の管理を回避」することに成功。勤務先企業のコードやプロジェクト、研究をコピーしたうえで、中国で「自身の投資会社を設立する目的で」使用したとしている。