賛否両論の「新生ジャガー」は何を狙っているのか? 奇をてらったわけじゃない確かな戦略の確信犯
【写真】超大胆! ジャガー「タイプ00」の先進的すぎるデザイン プロポーションも、大胆だ。ファストバックスタイルで、ルーフラインがゆるやかな弧を描いてテールエンドにつながっている。リアウインドウはなく、そこにもストライプが入れられているのみ。後方視界は、カメラで補うという。 23インチのロードホイールと組み合わされた大径タイヤを収めるのは、半円に近いホイールオープニング。ルーフラインを含めて、シンプルな線を活かした構成と小さなキャビンとが、アールデコ調の車体をもった1930年代の高級車を連想させた。
一方、実物は大きなドアを前ヒンジで上に跳ね上げる、いわゆるガルウィングドアを採用。車内にはなにもない。というのは、ややおおげさだけれど、モニターも操作類も実際に必要なときに現れる設計で、異形のステアリングホイールと、左右席を仕切る「ブリッジ」と呼ばれるセンターコンソールが特徴だ。 ボディの各所には「ブラス」と呼称される真ちゅう色(素材は不明)のプレートがアクセントとして備えつけられ、車体側面のプレートには二次元的表現になったリーパーが(控えめに)鎮座する。
リーパーのデザインをいじったのは、スマートメディアなどへの対応だそうだ。ロールス・ロイスもかつて同様の考えで、シンボルのグラフィック表現を変更したのを思い出した。 ■これは「物理的なマニフェストです」 車内には、「トーテム」と呼ばれるガジェットが用意されている。アンビエントカラーや香りをプリセットする板状のもので、それを車内のしかるべき位置にはめこむことで、ドライバーが選んだ設定が動き出すというもの。
「マイアミピンク」なる車体色(ゲイドンで見た実物はオフィシャル写真よりもう少し淡かった印象)の車体の周囲で、ときにはドアを開けながら、以上のことを説明された。 ただし、「ここで見せているのは、デザインビジョンで、言ってみれば物理的なマニフェストです」と、前出のスティーブンス氏。 タイプ00の車名にも、意味がこめられている。最初の0は、ゼロエミッション。先に触れた「リイマジン戦略」において、製造工程を含めて温室効果ガス排出量ゼロをめざすと発表されていた。