7月に富士山が山開き、NTTドコモが山小屋で無料Wi-Fiサービスを提供へ
7月の富士山の山開きに向けて、NTTドコモが富士山の山小屋で無料Wi-Fiサービスを提供すると発表した。無料Wi-Fiは、昨シーズン、KDDIグループのワイヤ・アンド・ワイヤレスがサービスを提供しており、今夏はドコモとワイヤ・アンド・ワイヤレスの通信2社によりさらに充実した通信環境が整うことになる。また、ドコモは 医療などの通訳アプリを富士山で試験的に運用する。
ドコモは富士山登山道や山頂で、ユーザー向けの通信サービスは行っていたが、外国人登山者も利用可能な無料Wi-Fiのサービスは行っていなかった。 静岡と山梨県は、公益社団法人日本山岳ガイド協会と協定を締結し、同協会が運営しているウェブサイト「コンパス」を利用して登山者がネットで登山計画書を簡易に提出することができるようにしており、また、静岡県はコンパスの機能を拡張して火山緊急情報も配信、サイトの多言語化も図って外国人登山者も広く利用できるよう取り組んでいる。 しかし、登山者向けにネットのサービスを充実させても富士山の通信環境が十分でないと、利用が進まないことから富士山での通信環境の充実を業界に求めてきた経緯がある。 自治体の意向に応える形で、昨シーズンは、KDDIグループのワイヤ・アンド・ワイヤレスが静岡、山梨両県と協定を締結して富士山の山小屋等施設の計49カ所で「富士山 Wi-Fi」と称して無料Wi-Fiサービスの提供を開始。同社は今シーズンも昨シーズンと同様のサービスを提供する。 また、今シーズンはドコモも静岡、山梨両県と協定を締結し、山梨県側25カ所、静岡県側30カ所の山小屋等施設で無料Wi-Fiサービスを提供することになった。ドコモによると、無料Wi-Fiサービス自体、ドコモとしては初めての提供になるという。
ドコモは富士山8合目にある医療施設「富士山衛生センター」などで、医療用通訳アプリ「みえる通訳forビジネスプラス(医療通訳プラン)」を試験的に運用するという。富士山衛生センターは富士宮市が運営している静岡県の施設で、シーズン中は医師や看護師が常駐して登山者のけがや病気の対応を図っている。 富士宮市によると昨シーズンの利用者は429人、うち外国人はわかっているだけで37人だった。「みえる通訳forビジネスプラス」は、タブレットやスマートフォンからワンタッチで医療通訳オペレーターにつながるサービス。英語、中国語、韓国語の3カ国語に対応し、画面上の国旗を選択すると、その国の言語の医療通訳オペレーターと映像でつながり、外国人登山者をサポートする(その他言語は一般通訳オペレーターに対応)。 同サービスについてドコモでは、山岳でのトライアルな運用として、富士山での運用は無償で行うという。富士登山では、計画書を提出しない登山者も多く、また、弾丸ツアーの登山者が体調を崩して救護所などを訪れるケースも後を絶たない。ネットや通信環境を整備することで事故防止や事故後の適切な対応に、どの程度つながるのか期待される。