プレミア12での優勝は“あっぱれ”ではあるが大会の意義には疑問がある【張本勲の喝!!】
プレミア12優勝は喜ばしいことだが……
プレミア12での日本の優勝は素晴らしかったが、問題点も多かった
先に開催されていたプレミア12で日本代表が優勝を果たした。日本プロ野球界にとって喜ばしいことだし、稲葉篤紀監督と選手たちには“あっぱれ”をやりたいと思う。稲葉監督は目を見張るような采配があったわけではないが、オーソドックスに戦い、素直に選手たちの力を引き出していたし、個々の選手たちの頑張りも光っていた。 だが、手放しで喜ぶことはできない。プレミア12では、アメリカをはじめとする各国にメジャー・リーグの選手たちが出場していなかったからだ。各国のトップクラスが全員そろっていない限りは、いくら優勝したからといって「世界一になった」と胸を張るわけにはいかない。 メジャー・リーグは来年の東京オリンピックにも40人枠、つまり一軍クラスの選手は派遣しない方針だという。日本代表の金メダル獲得だけを考えるなら悪い話ではないが、それでは面白くない。そもそも野球競技は次のオリンピックから再び除外されてしまう。この東京でよほど強いインパクトを残さねば、二度と採用されることはないだろう。 ただ、野球文化のないヨーロッパに野球の魅力を伝えるのは簡単ではない。そのためにもメジャー・リーグが本腰を入れなければならないし、世界に野球を広めて発展させることはアメリカにとっても決して悪い話ではないはずだ。そうなれば日本もメジャー・リーガーを含めた真の代表チームを組むことができ、ファンの興味や注目度もさらに上がる。 プロ野球選手にとっての価値は年俸でありお金であることは否定しないし、実際に私もそう考えているが、一方で国を背負い、名誉やプライドを懸けて戦うのも価値のあることだ。メジャーの選手たちの中にも代表としてオリンピックで戦いたいと考えている選手は多いのではないか。 プレミア12に話を戻せば、そもそも問題点の多い大会だった。日本の優勝の価値を下げるつもりはないが、各国のトップクラスの選手たちが参加しているわけではないから、レベル的には国際親善試合に毛が生えたようなものだったし、何より・・・
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週刊ベースボール