飯田・遠山郷で「霜月祭り」始まる 若者らが継承へ献身サポート
国重要無形民俗文化財「遠山の霜月祭り」(飯田市上村・南信濃)が12月7日、小道木熊野神社(飯田市南信濃小道木・川合地区)と正八幡宮(上村中郷地区)を皮切りに始まった。(飯田経済新聞) 【写真】小天狗の面を着け、湯切りを披露 旧暦の霜月である12月は一年で最も日が短く、この時期に「村人の生きるエネルギーを復活させる」という意味を持つとされる祭りが「遠山の霜月祭り」。祭りの前半では地元若手有志の会員らが神楽を歌い、全国から神様を迎え、かまどで沸かした湯でもてなす「湯立て」の神事が行われた。後半では禰宜(ねぎ)の鎌倉博登司さんが大てんぐの面(おもて)を着け、煮えたぎる釜の湯に手を入れて「湯切り」を披露すると、多くの歓声で盛り上がった。その後、神様をかたどった面を着けた住民が次々と舞を披露し、訪れた人は神様との交流を楽しんだ。当日披露した面は37面。 同地区の世帯数は13軒。高齢化で祭りの継承が難しくなる中、2014(平成26)年、地元の祭り好きの若者が集まり「木沢地区霜月祭り野郎会」を立ち上げた。同地区出身や在住者の他、祭りを支えたいという10~50代の45人の会員が継承を目的にサポート役に徹する。会員で14年目の参加となる西森皇謙さんは「地元地区在住ではないが中学生の時から参加している。地元に住んでいる人たちにとっては大事な祭りなので、継承を望むなら身を削ってもサポートしたい」と思いを話す。 祭りを取り仕切る同神社副禰宜の平澤一也さんは「後継者の減少の問題もあり、多くの地元の子どもたちに参加してもらい舞を通じて興味を持ってもらえたら。今日の若い人の舞を見て神様も喜んでいると思う。私にとっては命と一緒くらい大好きな祭り。人がいなければできない祭りなので時代に合わせた改革が必要」と先を見据える。 諏訪市から訪れた60代女性は「丁寧に継承されているのが素晴らしかった。若者が祭りを盛り上げていて楽しかった。他の地区の祭りも見に行きたい」と話していた。 祭りは遠山郷各地の神社で行われ、開催日程は以下の通り。12月11日=上町正八幡宮、同13日=下栗拾五社大明神、同14日=木沢正八幡神社・程野正八幡宮、同15日=八重河内正八幡神社、同21日=和田諏訪神社。
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