保守分裂の和歌山2区…「政権とのパイプ」「裸一貫で」「クリーンなイメージない」「こういうことがまかり通る政治だめ」
衆院選(27日投開票)が15日に公示され、論戦が各地でスタートした。和歌山2区では、自民党派閥の政治資金を巡る問題をきっかけに、「保守分裂」の激しい選挙戦となっている。 【表】和歌山2区、立候補者の顔ぶれ
和歌山2区は区割り変更で旧2区の一部と旧3区が統合され、和歌山県の約9割を占める広大な選挙区となった。旧3区は自民幹事長を務め、旧二階派を率いた二階俊博氏が当選を重ね、「二階王国」と呼ばれてきた。
しかし、党派閥の政治資金を巡る問題で、俊博氏が衆院選への不出馬を表明。県連は6月に三男の二階伸康候補の擁立を決定した。
一方、県選出の自民参院議員で、旧安倍派幹部だった世耕弘成候補は、派閥の政治資金を巡る問題で離党勧告を受けた。かねて首相を目指して衆院へのくら替えに意欲を示しており、離党して無所属となったこのタイミングで出馬を決断した。
世耕候補の出馬の動きが表面化すると、県連は「離党し、公認候補に対抗して立候補することは重大な党規違反に準ずる行為だ」との談話を発表するなど猛反発し、自民支持層を二分する争いとなった。
二階候補は15日、田辺市での第一声で、「私は党公認をいただいた身だ。政権とのパイプを、どうしても守らせてほしい」と声を上げた。
会場には、国会議員や地元の市町長、地方議員が並び、来賓の名前を紹介するだけで4分近くかかった。県内の事務所には石破首相や森山裕幹事長らのため書きが飾られ、「党公認」をアピールする。
二階陣営は選挙区を回り、600以上の企業・団体から支援を取り付けたという。陣営関係者は「知名度のある世耕氏とまともにやり合えば厳しいが、ここまで地盤を固めれば勝負になる」と話す。
世耕候補は15日、海南市で開いた出陣式で「『政治とカネ』の問題で全て失ったが、諦めていない。裸一貫で戦う」と訴えた。
当選5回の参院議員だった世耕候補は県内全域で名前が知られており、自民関係者は「無所属でも勝てる見込みがあるのだろう」と狙いを推測する。