有能人材流出のNY連銀、ウォール街での影響力低下の懸念も浮上
米金融当局と米国市場のベテランアナリストで、ライトソンICAPのシニアエコノミスト、ルー・クランドール氏は「ウィリアムズ総裁はバランスシートに関して自分が主導的な発言者にならないようする判断を意識的に下した可能性があり、それは必ずしも悪いことではない」との見解を示した。
調査会社LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスは5月29日の顧客向けリポートで、ローガン、ハマック両総裁に加え、ニューヨーク連銀出身でセントルイス連銀総裁のアルベルト・ムサレム氏のいずれかが将来的にウィリアムズ総裁の後任となる可能性があると指摘した。
LHマイヤーのアナリストはその中で「ローガン、ムサレム、ハマック各氏の総裁起用は、FOMCの最高レベルで直接、金融市場経験を集中・多様化することを優先したパウエル議長とFRBの明確なトレンドを示唆している」と論じた。FRB報道官はコメントを控えた。
ウォール街の債券トレーディングデスクで30年余りの経験を持ち、現在はミシュラー・ファイナンシャル・グループのマネジングディレクター、グレン・カペロ氏は「ニューヨーク連銀は自信たっぷりな態度でなくなった」とし、人々はかつて同連銀との面会や電話でのやり取りを希望していたが、「もはやそうではなくなった」と話した。
ニューヨーク連銀のスタッフの一部はウィリアムズ総裁に関し、前任のウィリアム・ダドリー氏のような形でマーケッツ・グループに関わることはないとの印象を抱いていると、事情に詳しい複数の関係者は明らかにした。
ダドリー氏は総裁就任前の08年の金融危機当時は同グループのトップを務めていた。ブルームバーグ・オピニオンに定期的に寄稿し、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のシニアアドバーザーを務める同氏はこの記事を巡ってコメントを控えた。
ダドリー氏の前任のティモシー・ガイトナー氏も1990年代に米財務省で新興市場の通貨危機への対応に当たり、市場絡みの危機に携わった経験を持つ。ウィリアム・マクドナー氏やジェラルド・コリガン氏といったそれ以前のニューヨーク連銀総裁も在任中に金融安定の保護で主要な役割を果たした。