有能人材流出のNY連銀、ウォール街での影響力低下の懸念も浮上
20年に引退するまで40年余りの市場経験を持ち、リッチモンド連銀のシニアエコノミストを務めたこともあるウォード・マッカーシー氏は「ニューヨーク連銀にはかつて『ウォール街お墨付き』の頼りになる人々が多く在籍していた」と話す。
その上で、「そのような人々の存在がウィリアムズ総裁とバランスを取る形になっているとの認識があったものの、彼らの大多数は今や去ってしまった」と述べた。
一方、ウィリアムズ総裁はニューヨーク連銀スタッフの能力の高さを称賛している。先月には「全ての問題に広範囲にわたる見解と専門知識」を同連銀が提示している点が連邦公開市場委員会(FOMC)に大いに役立っていると説明した。
ニューヨーク連銀のチームの長年にわたるメンバーの1人だったのはローガン氏だ。同氏はウィリアムズ総裁の下で連邦準備制度の巨額の債券ポートフォリオを統括した経歴を持ち、市場に関する見識の面で重要な発言者の1人と、投資家はみている。
ローガン、ウィリアムズ両総裁は1月、金融当局のバランスシート圧縮のQTについて発言したが、FRBウォッチャーは両総裁が強調した部分に相違があることに気づいた。
ローガン総裁は短期金融市場でのボラティリティーの高まりを受け、QTのペース減速に関して検討を始める良いタイミングだと語ったのに対し、ウィリアムズ総裁はその翌週、QTのインパクトを測定する主要な目安である銀行の準備預金にまだ問題はないと述べるにとどめた。
ニューヨーク連銀のマーケッツ・グループで頭角を現したローガン氏のメッセージは米金融当局のその後の行動を予測する形となり、当局は5月1日、QTのペースを6月から落とすと発表した。ウィリアムズ総裁は5月30日にエコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークでの講演で、ペース減速によって状況をモニターし、相対的に小さめながらも「十分な」準備預金の水準への円滑な移行を進める能力が高まると論じた。