緊張緩和につながったのか… 米中首脳会談“軍同士のハイレベル対話再開”など合意 <ワシントン支局長 報告>
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席が15日、首脳会談を行い、焦点となっていた軍同士のハイレベル対話を再開することなどで合意しました。今回の会談は緊張緩和につながったのか、現地で取材したワシントン支局・山崎大輔支局長の報告です。 ◇◇◇ 今回の首脳会談で、一時的な緊張緩和の「演出」には成功した形です。 来年に大統領選を控え、ウクライナや中東情勢に加えて中国も含めた「3正面」の対処は避けたいバイデン大統領と、国内経済が失速する中、アメリカの投資を呼び込み会談を通じて国内の威厳を高めたい習近平主席。米中関係を安定させたい双方の思惑が一致したといえます。 バイデン氏が求めていた軍同士の対話の再開や、国内で社会問題となっている合成麻薬「フェンタニル」の取り締まりで合意する一方、習主席も首脳会談で“大国のリーダーとしてもてなされている”という威厳を保つための演出をアメリカ側にのませ、アメリカ企業経営者との会合で投資を呼びかけるなど双方とるものをとった形で友好ムードを演出しました。 そして今後、米中関係が改善に向かうかについてですが、今回の会談は「マイナスをゼロ」に戻す、いわば「ダメージコントロール」といえます。今回も台湾問題や貿易分野では平行線で、根本的な対立は解消されていません。“覇権主義を掲げる中国がアメリカに挑戦する”という基本構図は変わっておらず、複数の外交筋が「関係改善ムードはあくまで一時的なもので、短期的に終わる可能性がある」と指摘しています。早速、バイデン大統領が会談後の記者会見で習氏を「独裁者」と呼んだことについて、中国側が猛反発しました。アメリカ政府高官に「会談直後に、あの発言は必要なかったでは」と質問したところ、「同じ思いを持っている人はあなただけではない」と苦笑いをしていました。 ワシントンの外交筋は「来年は大統領選があり国内も対中強硬に傾くためバイデン氏も世論を意識せざるをえなくなる」と指摘していて、米中関係の今後は見通せません。