史上最年少の永世称号に挑む藤井聡太八冠。6日開幕の棋聖戦は、会場を飾る"春蘭"にもぜひ注目を!
シュンランってどんな植物?
有賀さんのお父様である蘭万園の園主・有賀二郎さんは、日本東洋蘭協会および日本伝統園芸協会の理事長として、伝統園芸文化の継承と普及にも尽力されています。「シュンラン」という名前を聞いたことはあっても、どんな植物かじつは知らないことも多いのではないでしょうか。今回はみなさんに、江戸時代から親しまれているシュンランの魅力をもっと知ってもらうために、有賀彰宏さんにシュンランの基礎知識と、伝統的な楽しみ方について教えていただきました。 「シュンランは東アジアからヒマラヤにかけて分布する地生ランで、学名はシンビジウム・ゴエリンギー(Cymbidium goeringii)。豪華な洋ランギフトなどでもおなじみのシンビジウムの仲間です。日本原産の日本春蘭のほかに、中国春蘭や韓国春蘭などがあり、交配種もつくられています。 日本では青森から九州にかけて自生地があり、寒冷地を除けば温室などがなくても十分に楽しめる植物です。植木鉢の生産が広まった江戸時代から園芸植物として長く親しまれてきました」
「鉢はプラスチック鉢や京楽焼と呼ばれる陶器の鉢などで栽培しています。京楽焼といっても現在は京都府以外に愛知県などにも窯元があり、絵付けが施された"錦鉢(にしきばち)" とよばれる美麗な美術鉢や、栽培用の黒楽や素焼きの鉢が作られてきました。"鍔(つば)" というやや広い縁がつき、深さのある腰高のものが一般的です。ほどよい水もちと水はけになるように、鉢の下のほうには大粒、真ん中には中粒、上のほうは小粒と、培養土を三層に使い分けています」
プラスチック鉢の場合は側面に通気のための穴のあいているものがよく、置き場は風通しがよくて明るい木陰ぐらいの日当たりになる場所(なければ遮光した環境)が理想。秋から冬は軒下などの雨や霜のあたらない場所で管理するそうです。
鑑賞のポイントは? 花だけでなく葉も見どころ
「花は3月から4月にかけて開花します。基本的に緑色ですが、まれに赤花や朱金花、黄花、紫花、複色花などが出て、交配や選抜によりさまざまな色があります。また、花だけではなく葉に斑がある葉芸(はげい)物があります」